[上海 28日 ロイター] - 中国上場企業の所有者や大株主らの間で、株式売却の動きが広がっている。米中貿易摩擦や国内経済減速で圧迫を受ける同国株式市場では、一段と需給が悪化している。
2016、17年に新規株式公開(IPO)を実施した多くの企業が規制で義務付けられた3年のロックアップ期間を終える中、大株主らが持ち株を減らしているためだ。
アナリストは、こうした大株主らによる人民元建て株式(A株)の売却総額が今年、差し引き2400億元(341億ドル)前後に達すると試算する。
外国人投資家が中国株式市場への主要な参加経路であるストックコネクトを通じて年初来、中国株購入に投じた2700億元と大差ない規模だ。
株式売却が増加している背景には、3年前に企業のIPOが相次いだことがある。2015年の株価急落を受けて中国当局が一時停止していたIPO承認が再開されたためだ。
財新インサイト/CEBMのリポートによると、ロックアップ解除で今年4月以降、市場に放出されたA株は月間平均3000億元。18年8月─19年3月の月間平均1700億元から大幅に増加した。
3年のロックアップ期間終了に伴う株式売却は続く見込みで、A株市場は一段の圧力にさらされることになる。
こうした中、中国政府は金融市場の自由化をいっそう推し進める。また、国際的な指数算出会社は指数における中国本土株のウエートを引き上げており、外国人投資家は中国株への投資を拡大している。
企業のビジネスに精通する創業時の出資者や大株主による株式売却は、すでに株価に影響し始めている。
中国の華為技術(ファーウェイ)や米アップル (O:AAPL)のサプライヤーである深セン市匯頂科技 (SS:603160)は25日、主要株主が保有株式削減を発表したことを受け、株価が9.9%急落した。
外国人投資家が多く投資する製薬向け受託大手ウーシー・アップテック (SS:603259)も、株式売却で株価が伸び悩んでいるもようだ。
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