[ニューヨーク/サンフランシスコ 4日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカーのテスラ (O:TSLA)の株価が4日に14%近く上昇した要因は、ショートカバーの買いよりも、株価上昇の好機を逃したくない投資家の焦りである可能性が高いことがポジションの分析で示された。
4日の終値は887.06ドル。株価は今年に入って倍以上に上昇しているが、それに見合う規模のショートポジションの買い戻しは起きていない。テスラはここ2日で36.4%急騰し、ショートセラー(空売り筋)の評価損は57億ドルに上った。
金融分析会社S3パートナーズの調査責任者Ihor Dusaniwsky氏によると、テスラ株の出来高急増を説明できるほど空売り残高は減っていないという。
ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズの幹部、トーマス・リー氏は、テスラ株急騰の一因として、同株の配分を増やそうとファンドマネジャーが急いだ可能性を指摘する。ラッセル1000指数 (RUI)やラッセル1000グロース株指数 (RLG)をベンチマークに運用する一部のファンドマネジャーは、変動が大きく、2019年は株価が振るわなかったテスラ株を買いを控えていた可能性があるという。
テスラ株のさらなる上昇に備えるオプショントレーダーもいる。オプションデータ分析会社トレード・アラートによると、株式オプション市場で4日に最も取引されたオプションはテスラの7日期日、権利行使価格1000ドルのコールオプションだった。
一方、テスラ株の上昇による時価総額上昇で、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がストックオプション報酬を手にする可能性が高まっている。
マスク氏が保有するテスラ株19%の価値は4日、300億ドルに達し、2020年初めからは160億ドル増えた。
マスク氏は通常の給与やボーナスを受け取っておらず、報酬は時価総額や業績などの一定の条件を満たした場合に段階的に付与されるストックオプションのみ。
業績目標は昨年に達成済み。時価総額は先月に第1弾の目標である1000億ドルを突破、4日に第2弾の目標である1500億ドルを突破した。今後、時価総額が目標水準以上で1カ月推移するとともに、半年間の平均になる場合、マスク氏に巨額のオプションが付与される。
4日の取引終了時点で時価総額は1600億ドル。フォードモーター (N:F)とゼネラル・モーターズ(GM) (N:GM)の時価総額合計の2倍近い。
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