米、新型肺炎対策で1億ドル支援 クルーズ船は中国国民の乗船禁止

Reuters

発行済 2020年02月08日 09:23

米、新型肺炎対策で1億ドル支援 クルーズ船は中国国民の乗船禁止

[北京/上海 7日 ロイター] - ポンペオ米国務長官は7日、新型コロナウイルス感染拡大に対処するため、中国や感染の影響を受けている国に最大1億ドルを拠出する用意があると表明した。

ポンペオ長官は声明で「感染拡大への対応で米国の強いリーダーシップを示すものだ」と強調した。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務総長によると、新型コロナウイルスによる中国国内での死者は7日時点で637人に達した。同ウイルスについて早期から感染拡大の危険性を指摘し、新型肺炎で同日死亡した中国の医師も含まれる。

中国国内での感染者は計3万1211人。ロイターの算出によると、中国国外では27カ国・地域に拡大し、320人の感染が確認されている。

テドロス事務総長は「この2日間で中国国内での感染者数が鈍化していることは朗報だが、深読みすべきではない」とし、「今後感染例が再び増加する可能性はある」と慎重な見方を示した。

こうした中、クルーズ船運営大手ロイヤル・カリビアン・クルーズ (N:RCL)は「過去15日以内に中国、香港、マカオに渡航もしくは通過した顧客および乗務員はわれわれのクルーズ船への乗船は許可されない」とする声明を発表。さらに「中国、香港、マカオのパスポート保有者の乗船も許可しない」とした。

米ニュージャージー州当局によると、この日同州に接岸したロイヤル・カリビアンのクルーズ船に乗っていた約20人が新型ウイルスのスクリーニング検査を受け、4人が病院に搬送されたという。

台湾保健当局は週明け10日から、中国本土の大半の都市への航空便の運航を4月29日まで停止すると発表した。北京、上海、成都、厦門(アモイ)への運航は当面継続する。さらに、10日以降に中国、香港、マカオを経由し台湾に到着する旅行者は14日間隔離されるという。

トルコはこの日、中国からのすべての家畜および動物性脂肪の輸入を停止すると発表した。また、保健当局によると、中国から退避した取る国民61人から感染は確認されていないという。

カナダでは、新型ウイルスの震源地とされる中国・湖北省武漢市から退避した同国の国民176人を乗せたチャーター機がオンタリオ州の空軍基地の到着した。同国の保健当局によると、症状が出ている人はいない。また、米国務省のチャーター機で退避したカナダ国民39人も到着した。帰国者は全員、14日空軍基地内に隔離される。カナダ政府のチャーター機2機目は10日に武漢を出発する予定という。

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新型ウイルス感染拡大が継続する中、製造業や高級品業界など幅広い企業活動にも影響が広がっている。

仏自動車大手ルノー (PA:RENA)は新型ウイルス感染拡大を背景とした中国のサプライチェーン混乱を踏まえ、韓国子会社ルノーサムスン自動車(RSM)の釜山工場の操業を11日から4日間停止すると発表した。ルノーの広報担当は、日産 (T:7201)と連携し、サプライチェーン混乱に取り組んでいると述べた。釜山工場では日産の主力スポーツ多目的車(SUV)「ローグ」を生産する。ルノーは今週、新型ウイルスの震源地とされる中国・湖北省武漢の工場を13日まで閉鎖する方針を示している。

英高級ブランドのバーバリー (L:BRBY)は中国本土の64店舗中24店舗を閉鎖。残りの店舗も営業時間を短縮しており、客足は大きく落ち込んでいることを明らかにした。

米化粧品大手エスティ・ローダー (N:EL)も店舗閉鎖や需要減が響くとし、2020年度の利益見通しを下方修正。カナダの高級ダウンジャケットメーカー、カナダグース・ホールディングス (TO:GOOS)も、来客数の減少が通期の利益と売上高見通しに響くと予想した。