アングル:歴史的な下落相場、底値はどこか 空前の米財政出動待ち

Reuters

発行済 2020年03月13日 14:13

アングル:歴史的な下落相場、底値はどこか 空前の米財政出動待ち

水野文也

[東京 13日 ロイター] - 株価の底はどこか──。新型コロナウイルスに原油急落による信用不安、さらに東京五輪の開催延期懸念が加わり、日経平均株価 (N225)は高値から3割下落した。市場参加者が待ちわびるのは、やはり政策。利下げよりも、米国による空前の財政出動が株価反転のきっかけになるとみる関係者は多い。

世界同時株安となる中で、日本株はとりわけ厳しい状況に置かれているとの見方が出ている。新型ウイルス、世界的な信用不安というのは各国共通する材料だが、日本には五輪開催という独自材料があるためだ。

岡三オンライン証券・チーフストラテジストの伊藤嘉洋氏は「開催延期になれば、これまで景気を支える材料となっていただけに影響の大きさは計り知れない」と指摘する。「海外勢もその点を見越して現物を外すとともに、先物を売り仕掛けているようだ」という。

日経平均株価は13日に一時10%を超える下げとなり、年初来高値からの下落率は30%を超した。マーケットでは「3割高下に向かえ」という相場格言があり、いったんの底値とみることもできる。

東洋証券・ストラテジストの大塚竜太氏は、経験則からすれば、いったん下げ止まる水準だと期待する。市場の失望を誘った米国の財政出動に対しても「政策が効かないとなれば、次々に追加策が出てくるのが、これまでの下げ相場における流れだ」という。

13日の市場で日経平均が10%以上の下げで引けた場合、1949年に東証が取引を再開してから5回目となる。過去の4回は、スターリン・ショック、ブラックマンデー、東日本大震災、リーマン・ショックによるもので、今回の「コロナショック」が歴史に残る下げ相場になることは疑いがない。

これら歴史的な下落相場に歯止めをかけたのはいずれも政策だった。

リーマンショックは、中国政府による巨額な財政出動が底入れの契機となった。原油安による信用不安という今回と共通項があって株価が3割下落したチャイナショック時もG20政策総動員で解決した経緯がある。

大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は、中国、日本、欧州は現状で感染予防に重点を置かざるを得ないと指摘。それゆえ「米国の大規模な財政支出を市場は底入れのきっかけとして待っている」と話す。

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市場では、株価が落ち着けば「下げ過ぎと誰もが思っているため、反発局面も考えられないような急速な戻しを演じる可能性が高い」(岡三オンラインの伊藤氏)といった見方も少なくない。