世界の大規模政府系ファンド、年初来の含み損は計670億ドル

Reuters

発行済 2020年04月20日 11:28

[ロンドン 17日 ロイター] - 世界の大規模政府系ファンド(SWF)の年初来の含み損が合わせて約670億ドルに上るとの試算が明らかになった。新型コロナウイルスの感染拡大で主要な保有資産の価値が低下したことが響いている。

スペインのIEセンター・フォー・ザ・ガバナンス・オブ・チェンジの研究責任者ハビエル・カパペ氏が、初期投資額が10億ドルを超えた15ファンドの含み損を試算した。

それによると、670億ドルの含み損のうち約400億ドルは中国投資(CIC)が保有する中国建設銀行 (SS:601939)や中国工商銀行 (SS:601398)、中国銀行 (SS:601988)、中国農業銀行 (SS:601288)

など中国系金融機関の株式が占めた。

カパペ氏は「(SWFは)世界的な金融危機の際に大規模な投資を行い、その際に取得したバークレイズ (L:BARC)やクレディ・スイス (S:CSGN)など欧州の銀行の株式が低迷している」と指摘した。

カタール投資庁(QIA)は2008年にクレディ・スイスの株式を取得し、リフィニティブのデータによると、現在の保有比率は5.21%。ノルウェーのSWFも4.98%を保有している。QIAはバークレイズの株式も5.87%保有。シンガポールのテマセク・ホールディングスは金融危機前の2006年にスタンダード・チャータード (L:STAN)への出資に乗り出し、現在は16%を保有する。

これら欧州3行の株価はいずれも年初来39─49%下落している。