[トゥールーズ/パリ 23日 ロイター] - 欧州の航空機大手エアバス (PA:AIR)がエンジンの一部を内製化する計画を撤回したことに対し、地元自治体の諮問機関や労働組合連合などが反発している。フランス国内で350人の職が失われるという。
エアバスは今月、米航空機・防衛機器メーカーのレイセオン・テクノロジーズ (N:RTX)から、商業旅客機「A320neo」用のエンジン収納筐体の製造を引き継ぐことになっていた。将来のメンテナンス事業による利益も得られるはずだった。
この計画は2017年、エアバスが仏航空機エンジンメーカーのサフラン (PA:SAF) と現レイセオン・テクノロジーに製造委託していた2種のエンジン収納筐体について、「内製化」を検討し始めたことが発端。その後、レイセオンの分のみを内製化することになった。
しかし、エアバスが本拠を置くオキシタニ地域圏の諮問機関によると、この計画は全て撤回され、エアバスはレイセオンとの契約を6月末以降も継続することになったという。
同諮問機関の代表は、雇用がメキシコか中国に奪われることを意味すると猛反発。オフショアリングが加速し、エアバスの事業再構築交渉にも悪影響を及ぼすとの認識を示した。
一方、仏の有力労働組合連合「Force Ouvriere」も、この方針はハイテク関連の雇用を流出させないための取り組みに矛盾すると指摘した。
エアバスは、新型コロナウイルス危機により内製化計画を破棄せざるを得なくなったと説明。「財務基盤を守るため、現在および将来の製造計画を見直す以外に選択肢はなかった」としている。