ホンダがF1撤退へ、再参戦せず 電動車開発に経営資源集中

Reuters

発行済 2020年10月02日 17:13

更新済 2020年10月02日 20:27

[東京 2日 ロイター] - ホンダ (T:7267)は2日、世界最高峰の自動車レース、F1世界選手権への参戦を2021年シーズン限りで終了すると発表した。世界的に環境問題への取り組みが強まる中、二酸化炭素削減に寄与する燃料電池車や電気自動車などの研究開発に技術者などF1の経営資源を振り向ける。

八郷隆弘社長は今夕に会見し、動力と燃料の脱炭素を実現する「カーボンニュートラル」を2050年に目指すと強調。「新たなチャレンジに経営資源を傾ける」とF1撤退を決断した理由を語った。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、あらゆる産業で企業の業績が低迷している。ホンダも4─6月期は808億円の最終赤字に転落したが、八郷社長は「収益(悪化)やコロナの影響ではなく、将来を見据えた技術者のリソース転換だ」と説明。短期的な収益を追うより、「最重要課題である脱炭素やエネルギー分野に経営資源を重点的に投入していく必要がある」と述べた。

ホンダは創業者である故・本田宗一郎氏の思いのもと、1964年にF1へ初参戦。80年代後半から90年代にかけては6年連続で優勝を果たした。その後、参戦と撤退を繰り返し、現在が4期目。レッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリの2チームにエンジンを供給している。

前回撤退したのはリーマン・ショックの影響で販売と業績が落ち込んだ2008年。15年に復帰して今に至るが、当時は短期的な収益改善のための撤退だったという。

八郷社長は今回は「終了」だとし、「再参戦は考えていない」と語った。ホンダにとってF1は重要なブランド戦略の1つでもあったが、「モータースポーツ活動はホンダのDNA」としながらも「環境対応もホンダのDNA」と語った。