議会乱入で米企業の献金停止相次ぐ、バイデン氏承認反対議員に

Reuters

発行済 2021年01月11日 16:05

更新済 2021年01月12日 15:09

[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領の支持者が連邦議会議事堂に乱入した問題を受け、バイデン氏の大統領選勝利認定に反対した議員への献金を停止する企業が相次いでいる。

これまでに献金停止を発表した企業はアマゾン・ドット・コム、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ダウ、AT&T、コムキャスト、ベライゾン・コミュニケーションズ、アメリカン・エキスプレス、エアビーアンドビー、ベスト・バイ、マスターカードなど多数に及んでおり、共和党の資金調達が抑制される恐れがある。

AT&Tやコムキャストなどは特に献金額が大きい。

グリーティングカード大手のホールマークも献金を停止する方針を発表。共和党のジョシュ・ホーリー上院議員とロジャー・マーシャル上院議員がバイデン氏の勝利に異議を唱えたことを受け、両議員に対し献金を全額返還するよう求めた。

両議員からのコメントは得られていない。

こうした企業の決定が、永続的な影響を及ぼすかどうかは明らかではない。現在、政治家の資金集めは選挙後の休止状態にあり、企業や業界団体にとって方針を見極める期間となるとみられる。

化学メーカーのダウは他社よりも踏み込み、バイデン氏の勝利認定に反対した議員への献金停止を1任期(下院は2年、上院は最大6年)続けるとしている。

フォード・モーターやマイクロソフト、アメリカン航空、グーグルの持ち株会社アルファベット、フェイスブック、ゴールドマン・サックスなどは共和、民主両党への献金を一時的に停止するとした。

投資会社のブラックストーン・グループやKKRは、全て政治献金を停止したと表明した。

GEは献金停止を2022年末まで継続し、その後、政治活動委員会を監督する従業員委員会が「ケースバイケース」で、反対議員の支持要請を検討するという。

アマゾンは「これまで支持してきた議員と直接」懸念について話し合った上で、今後、献金を再開するかどうか決定するとした。

米議会では6日、大統領選の結果認定に向けた選挙人投票の集計が行われる中、トランプ大統領の支持者らが議事堂に乱入。混乱の中、警官1人を含む5人が死亡した。

その後に再開された認定プロセスでは、ペンシルベニア州あるいはアリゾナ州での大統領選結果に異議を唱えた共和党議員は上下両院を合わせ147人に上った。議会は7日にバイデン氏の勝利を認定した。

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共和党の戦略担当者は匿名を条件に、バイデン氏の勝利認定に反対した共和党議員が多数に上ったことから、企業にとってこれらの議員を単純に切り捨てることは困難になると語った。

複数のアナリストも、企業は議会とのつながりを確保する必要があると指摘。企業にとっては、そのつながりを失うことのほうが、米国の民主主義を傷つける議員らを支援していると受け止められることよりリスクが高いだろうとし、献金停止は永久には続かないと分析した。

スタンフォード大学の法律学教授、ナサニエル・パーシリー氏は「選挙から2カ月後に献金を停止するのは非常に容易だが、問題はこうした方針が持続するかどうかだ」と述べた。