東京五輪中止なら保険会社の損失30億ドルも、過去最大

Reuters

発行済 2021年01月28日 01:21

[ロンドン 27日 ロイター] - 開催まで半年を切った東京五輪・パラリンピックが中止された場合、世界の保険会社が被る損失は20億─30億ドルと、世界的なイベントの中止に関連する損失としては過去最大となる恐れがあることが保険ブローカー話で明らかになった。

東京五輪はすでに1年延期。国際オリンピック委員会(IOC)と東京五輪組織委員会は再延期はないとの見解を示しているため、今夏に開催できない状況に追い込まれれば、延期ではなく中止となる公算が大きい。

新型コロナウイルス感染拡大で、多くのスポーツイベントや会議などが中止される中、保険会社はすでに多額の損失を被っているが、保険ブローカー、ギャラハーのエクゼクティブディレクター、シモン・ヘンダーソン氏は、五輪中止に伴う損失は「想像を絶するほどの巨額になる」との見方を示した。

ジェフリーズのアナリストは、東京五輪にかけられている保険は約20億ドルと試算。これに加え、ホスピタリティー部門に6億ドルの保険がかけられている。IOCは通常、夏季五輪に約8億ドルの保険をかけるほか、東京五輪組織委は6億5000万ドルの保険をかけていると推定されている。

さらに、報道各社も巨額の保険をかけている。保険ブローカー、NFPスポーツ・アンド・エンターテインメント・グループの最高執行責任者(COO)、リー・アン・ロッシ氏は「テレビ局、スポンサー各社、プロスポーツチームなどは五輪が中止された場合に備え、保険をかけている」とし、こうした保険は数年前からかけられており、感染症の拡大を理由とした中止は保険金支払いの対象になる公算が大きいと述べた。

保険ブローカーは、東京五輪が中止された場合に支払われる保険金の額は昨年の延期に関連する保険金をはるかに上回るとしている。