アングル:ウォール街に米株上昇一服の見方、投資家に迫る売りか保有の決断

Reuters

発行済 2021年04月26日 14:22

更新済 2021年04月26日 14:36

[ニューヨーク 23日 ロイター] - S&P総合500種は今年に入って最高値を更新しているが、一部の米金融街大手が上昇の一服を予想し始める中、投資家は利食い売りか継続保有かの決断を迫られている。

最近ではゴールドマン・サックスのアナリストが21日、米成長率の第2・四半期ピークが株式リターン低下につながる可能性があると指摘。モルガン・スタンレーはこれに先立ち、株式が近いうちに逆風に直面すると警告。ドイツ銀行は今月、成長率が減速する中でS&P500が最大10%下落すると指摘。BofAグローバル・リサーチは、年末時点の同指数が現在の水準を約8%下回るとの目標を維持した。

米株の大幅な下落が見られない期間が比較的長期にわたっていることも一部投資家を不安にさせている。CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストバル氏によると、S&P500は177営業日の各日で少なくとも5%の下落にとどまっている。

ダコタ・ウェルスのシニアポートフォリオマネジャー、ロバート・パブリック氏は「人々が少し行き過ぎかもしれないと考え始めた以外の理由が特にない中で、一定の修正があるとしても驚かないだろう」と述べた。

突然の警告に一部の投資家は困惑。多くは利益を確保したいと望む一方、過去1年間の下落場面では急速な回復が後に続いていたこともあり、保有を継続して下落時に買い増す戦略も。

ストバル氏によると、S&P500は2020年3月以降の2度の大幅安で平均8%値を下げ、下落局面は12日間続き、回復に45日間を要した。いずれのケースも数週間後には新高値を付けており、前例のない金融・財政刺激策が投資家の自信を強めていることでパターン化した動きとの声も出ている。

チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ部門バイスプレジデント、ランディー・フレデリック氏は「昨年3月の弱気市場以降、押し目買いはかなり功を奏している」と語る。

世界金融危機の安値以降、同指数は数度の大幅安があったにもかかわらず、511%値を上げている。

とはいえ、一部では混乱への備えも。新型コロナウイルス感染拡大による不安や、大規模な財政刺激策による経済的利益の大部分が既に織り込まれているとの懸念を反映している。複数の関係筋が22日に明らかにしたところによると、ホワイトハウスは富裕層に対するキャピタルゲイン課税の税率を2倍近くに引き上げることを提案する。

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オプション市場では、センチメントを測るプット・コール・レシオの1カ月移動平均が約1年ぶりの弱気水準となっており、株価下落に備える需要の高まりを示している。

サスケハナ・インターナショナル・グループのクリス・マーフィー氏は最近のノートで「投資家は一段高へのカタリスト不足を潜在的に感じている」と指摘した。

株式の割高感も懸念だ。リフィニティブ・データストリームによると、S&P総合500種の予想PER(株価収益率)は22.3倍と、過去平均の15.4倍を上回っている。

チェース・インベストメント・カウンセル(バージニア州)のプレジデント、ピーター・トゥズ氏は「市場は割高なため、まだアップサイドを見込める株式を探している」と述べた。