米IPO、年初来の調達額は1710億ドル 昨年実績上回り過去最高

Reuters

発行済 2021年06月16日 10:59

[15日 ロイター] - 調査会社ディアロジックによると、2021年の米国市場で新規株式公開(IPO)はすでに総額1710億ドルに達し、過去最高を記録した20年通年の実績額1680億ドルを上回った。

新型コロナウイルス感染拡大を受けた米連邦準備理事会(FRB)の低金利・金融緩和策を背景に株式市場で企業のバリュエーションが高まっていることがIPOブームをもたらしている。

こうした状況は投機的な熱狂を巻き起こし、従来の企業のIPOだけでなく、特別買収目的会社(SPAC)によるIPOにも恩恵を与えている。

21年下期には、ソフトバンクグループなどが出資する中国配車サービス最大手、滴滴出行(ディディ・チューシン)や、株式取引アプリ運営の米ロビンフッド・マーケッツ、電気自動車(EV)メーカーの米リビアン・オートモーティブなど注目を集める多くのスタートアップ企業が数十億ドル規模の案件を準備しており、IPOは新たな記録を打ち立てる見通しだ。

モルガン・スタンレーの米州株式資本市場部門共同責任者、エディ・モロイ氏は「市場が現在の水準付近を維持すれば、今夏から秋にかけて、IPOはかなり活発になるだろう」と指摘。

「木は永遠に空に向かって伸びるわけではないので、毎年記録を更新することはないが、安定的に推移すると仮定すれば、22年も忙しい年になる」と語った。

SPACを除いた従来のIPOも、21年はすでに韓国のネット通販大手、クーパンなどを含め調達額が670億ドルに達しており、過去最高となる見通しだ。

市場関係者らによると、SPACを除く従来のIPO調達額は第3・四半期末までに500億ドル近くに上る可能性があるとみられている。ディアロジックによると、第2・四半期は6月15日までの時点で241億ドルに達している。

関係筋によると、ディディの案件だけで調達額は100億ドル近くとなる可能性がある。

投資銀行関係者は、21年末までに米IPOが2500億─3000億ドル以上と、かつては考えられなかった規模に達する可能性があるとみている。

<SPACがIPOけん引>

IPOを押し上げているのは主にSPAC案件だ。