中国、アプリ大手への調査拡大 滴滴など米上場企業が対象

Reuters

発行済 2021年07月05日 12:47

更新済 2021年07月05日 17:09

[北京/香港 5日 ロイター] - 中国当局が、米国に上場するIT企業に厳しい目を向けている。配車サービス最大手の滴滴出行(ディディ)に続き、求人アプリやトラック配車アプリの企業の調査にも乗り出した。

滴滴は6月30日にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場。その後まもなく中国サイバースペース管理局(CAC)が同社をセキュリティー上の懸念から調査。4日には、違法な利用者情報収集を理由に、スマートフォン向けアプリストア運営各社に対し、滴滴のアプリの配信を停止するよう命じた。

CACは5日、求人アプリ「BOSS直聘」、トラック配車アプリ「運満満」および「貸車幣」を運営する満幇集団(フル・トラック・アライアンス)を調査していると明らかにした。CACの調査中は、新規利用者の登録が停止される。

中国当局は最近、電子商取引大手アリババ・グループなどのインターネットプラットフォーム企業に対し独占禁止面から取り締まりを強化している。

米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、マーティン・コルゼンパ氏は「(アリババ傘下の)アントの新規株式公開中止や滴滴への措置が示すのは、中国においてIPOは、事業の規模や内容が明らかになり、当局の関心をひいてしまう非常に危険なものだということだ」と述べた。

滴滴は中国のオンライン配車市場で圧倒的なシェアを握るほか、16カ国の4000拠点で事業を展開する。6月の開示資料によると、1─3月期の売上高は約422億元(65億ドル)。内訳は中国モビリティー部門が392億元、国際事業が約8億元だった。

フル・トラック・アライアンスは「トラック版ウーバー」と呼ばれ、1000万人強の登録トラック運転手と500万人以上のトラック所有者を抱える。

BOSS直聘は中国国内最大の求人サイトを運営。同社の新規株式公開(IPO)に向けた目論見書によると、今年第1・四半期の月間アクティブ利用者数は2490万人に上った。

滴滴はリアルタイムのモビリティーデータを大量に収集。一部を自動運転技術や交通分析に利用している。