EUが環境対策包括案、35年にガソリン車販売禁止へ 国境炭素税導入

Reuters

発行済 2021年07月15日 01:57

[ロンドン/ブリュッセル 14日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は14日、域内の温暖化ガス排出量の大幅削減に向けた包括案「フィット・フォー・55」を公表した。ガソリンやディーゼルなどの内燃機関エンジン車の新車販売を2035年に事実上禁止する他、域外から輸入する炭素含有量の多い鉄鋼やアルミニウムなどに対する国境炭素税を導入する計画。

30年までに温暖化ガス排出量を1990年比で55%削減する目標の達成に向けて具体的な措置を打ち出すことで、他の主要国の追随を狙う。

自動車の自動車の二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標については、30年までに21年比で55%削減と、現行目標の37.5%から引き上げ。さらに35年までにゼロとすることを目指す。

35年に内燃機関エンジン車を実質禁止する計画に伴い、電気自動車(EV)の販売を後押しするため、25年までに公共の充電ステーションを拡充する計画も提案した。

EUによる排出量規制の標厳格化を想定し、自動車メーカーの多くがすでに対応に動いている。独フォルクスワーゲン(VW)は先月、欧州で35年までに内燃エンジン車の販売を打ち切る方針を示したほか、欧米自動車大手ステランティスは先週、EV化推進に向け、25年までに300億ユーロ超の投資を行うと発表した。

世界初の試みとなる国境炭素税は23─25年を移行期間とし、26年から本格的に導入する。EUよりも環境規制が緩い国からの輸入品に関税を課し、公平な競争を確保する。

対象は鉄鋼やアルミの他、セメント、肥料、電力で、輸入業者は「デジタル証明書」を購入する必要がある。