サイバリンクス Research Memo(4):2021年12月期から4セグメント体制に再編成(2)

Fisco

発行済 2021年10月08日 15:14

■事業概要

4. トラスト事業
2021年12月期から新たにセグメント区分された事業で、マイナンバーカードをベースにした「第3のトラストサービス」を提供する。
サイバーリンクス (T:3683)は、2020年7月に「電子委任状取扱業務」の認定を取得したが、これと「時刻認証業務認定事業者(タイムスタンプ:TSA)」の認定(2017年4月取得)、「公的個人認証サービス プラットフォーム事業者」の認定(2017年12月取得)と併せて、トラストサービスを提供するための準備が整った。
そのため2021年12月期から、トラストサービス市場に本格参入することを決定し、この事業を新たに「トラスト事業」としてセグメント分けした。
なお、同社の電子委任状サービス「マイナトラスト電子委任状」が、政府の電子調達ポータル及び政府電子調達(GEPS)に採用され、2021年8月から稼働を開始している。


引き続き積極的に研究開発投資を推進し、強み(マイナンバーカード・電子委任状・タイムスタンプ)を生かした新サービスの開発により早期の事業化、サービス提供の開始を目指している。


5. モバイルネットワーク事業
NTTドコモの1次代理店であるコネクシオ (T:9422)と「代理店契約」を締結し、2次代理店として和歌山県内で7店のドコモショップを運営している。
県内の運営代理店シェアは34.8%(2020年12月期)とトップであり、県内最大のNTTドコモ代理店となっている。
同社が運営しているドコモショップは全体的に高評価を得ており、同社のこの事業部門も利益を確保している。


6. 特色、強み
(1) シェアクラウド
同社の事業の特色の1つは、「シェアクラウド」に特化している点である。
シェアクラウドサービスとは、各顧客企業の機能要求に個別に対応するのではなく、複数の顧客が同じハードウェア、ソフトウェア、運用・保守等を共同で利用する方式のことで、これによって「高機能」「高品質」のサービスを「ローコスト」で提供することが可能となっている。
同社によれば、通常の個別対応の流通システムに比べて同じ性能のシステムを1/2~2/3程度のコストで提供可能とのことである。


このような共同利用を可能にするためには、優れた開発力を持つことが必要なことは言うまでもないが、それに加えて、開発・導入・運用・保守までの一貫サービスを自社ですべて提供できることが必要となる。


(2) 食品流通業界向けに特化
同社は1988年から流通小売業向けネットワーク型POSの情報処理事業を行っており、流通分野、特に食品流通における知見やノウハウの蓄積が豊富である。
このようなノウハウを生かすため、日持ちのしない生鮮食品や水産加工品も扱い、小売業のなかでも最も厳しい販売管理が求められる食品スーパーを対象としたクラウドシステムに狙いを定めて事業を展開している点は、同社の特色であり強みと言えるだろう。


ただし、同社が他の領域にまったく参入しない、またはできないわけではない。
年商300億円以下の食品スーパーを対象とした食品流通の市場では、同社は既にITベンダーとして確固たる地位を築いているが、今後は今まで同社が参入していなかった年商1,000億円以上を含む中・大規模企業向け市場にも進出する計画だ。
その第1弾として、2017年4月に「@rms基幹」の中大企業向けバージョン(初期版)をファーストユーザーへ導入、その後も順次導入を進めており、今後さらなる市場拡大が期待できる。


また、現在同社は食品流通向けに絞って事業展開しているが、同社のシステムが他の業界向けに利用できないというわけではない。
既に大手ドラッグストアが同社のEDIサービスの利用を開始するなど水平展開の兆しもあり、近い将来、収益基盤が磐石となった場合には、ドラッグストアやホームセンターといった他の小売市場へ本格的に参入することはあり得る。
このように市場を絞り込んで着実に事業を進めている点も、同社の特色と言えるだろう。


(3) 「定常収入」重視の経営方針
同社は重要な経営方針として「定常収入の増加」を掲げている。
定常収入とは、毎月の利用料や保守料などのように、営業成績や受注高等に関係なく安定的に入る収入のことで、これが増加することで固定費を賄う負担が軽減され、収益基盤は安定する。


同社だけでなく、多くの企業が定常収入の増加を目指しているが、経営方針として明白な数値目標を掲げている企業は少ない。
なお、同社の定常収入(2021年12月期第2四半期)は3,264百万円であり、対売上高比率は47.6%であった。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


アプリを入手する
Investing.comで、世界の金融市場の最新動向をチェックしましょう!
今すぐダウンロード

金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。 上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある場合は英語版が優先されます。

ログアウト
本当にログアウトしますか?
いいえあり
キャンセルあり
変更を保存