EMシステムズ Research Memo(1):2021年12月期第2四半期は増収減益(1)

Fisco

発行済 2021年10月08日 15:21

■要約

EMシステムズ (T:4820)は、薬局を中心に、クリニック、介護施設向けに、業務処理用コンピュータシステムの開発・販売を行うITサービス会社である。
主力事業である薬局向け調剤業務処理用コンピュータシステムは16,478薬局で利用されており、市場シェアの33.0%を占め業界トップ。
ストック型ビジネスモデルに業界内でいち早く移行を開始した。
2019年2月及び3月には介護/福祉システム事業強化のためのM&Aを実施し、ヘルスケア分野全般に関するサービス体制が整った。
医科・調剤・介護/福祉の垣根を越えた共通情報システム基盤「MAPsシリーズ」は、完全ストック型・クラウド化が特長であり、次世代戦略サービスとして展開が始まっている。


1. 事業概要
同社では薬局向けの調剤業務処理用コンピュータシステムの開発・販売を行う「調剤システム事業及びその関連事業」、クリニック向けの医療業務処理用コンピュータシステムや電子カルテシステムなどの開発・販売を行う「医科システム事業及びその関連事業」「介護/福祉システム事業」及び「その他の事業」の4事業を展開している。


主力は「調剤システム事業及びその関連事業」であり、薬局向けの調剤業務処理用コンピュータシステムを開発、販売し、付帯するサプライの供給、保守メンテナンスサービスを行う。
全社売上高の76.4%(2021年12月期第2四半期)、全社営業利益の101.5%(同)を占める大黒柱である。
主要製品は薬局向け医療業務処理用コンピュータシステム(製品名:「Recepty NEXT」)。
ユーザーの薬局数は16,478件(2021年6月末、シェア33.0%)と業界1位である。
同社の強みの1つは、ストック型ビジネスモデルを確立したことである。
業界内でいち早く売切り制から初期導入費を抑えた従量課金制度を採用したため、同業他社製品に比べ価格競争力が高い。
また、同業他社が販売代理店制をとっているのに対して、同社は直販が主体の製販一体体制でありユーザーサポート力の高さに定評がある。


2. 2021年12月期第2四半期業績
2021年12月期第2四半期業績は、売上高6,672百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益582百万円(同31.6%減)、経常利益1,023百万円(同11.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益687百万円(同14.3%減)となった。
期初予想からは、売上高で0.8%減、営業利益で15.0%減と想定外の費用が発生した面はあるが、売上高は概ね計画通りであり、全般的に堅調に推移した。
売上高に関しては、同社計画に肉迫しており順調である。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により、新規開業や設備投資時期の見直しなどの動きを受けたものの、既存システム販売件数の増加による初期売上高及び課金売上高がともに増加した。
営業利益に関しては、MAPsシリーズリリース後の資産計上額が減少し保守維持費用が増加したことや、想定を上回る介護報酬改定に対応する開発費用が発生したこと等により製造原価が増加し、前年同期比及び計画比で減益となった。


3. 今後の見通し
2021年12月期の連結業績は、売上高13,974百万円(前期比※4.5%増)、営業利益1,508百万円(同11.3%増)、経常利益2,017百万円(同6.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,357百万円(同5.7%増)と増収増益の見込みであり、期初予想から変更はない。
同社は従来のシステム・ハード・サポートの三位一体販売からシステム重視の販売にシフトし、完全ストック型ビジネスへの切り替えを行っており、その過渡期にあたる。
製品戦略としては、新製品「MAPsシリーズ」による新規顧客開拓及び他社リプレイスの促進が基本となる。
マーケティング・営業戦略としては、デジタルシフトが進むなか、SEO・SEMなどを強化し、非対面営業やECサイト「MAPsダイレクト」に誘導する取り組みをさらに磨く方針だ。
また、日医標準レセプトソフトORCAとの連動(医科)、(株)グッドサイクルシステムとの薬歴連動などに関する業務提携(調剤)、オンライン資格確認システム提供(医科、調剤)など顧客へのアプローチが重層化し、機会が増える。
開発に関しては、リリース済みの「MAPs for PHARMACY」のさらなる機能拡張による製品競争力の強化、介護/福祉システム「MAPs for NURSING CARE」の早期リリースなどが重点となるだろう。
コロナ禍の影響は、ある程度見極められる段階になったと言えるだろう。
医科・調剤・介護/福祉業界の事業環境は変わったものの、効率化のためのシステム投資は依然として必要性が高い。
また、展示会や学会のオンライン化や非対面営業・マーケティングへの変化にも、コロナ禍以前から準備をしていたため、短期間で以前より効率的なマーケティング・営業が可能となった。
一方、マイナス面としては、今後も処方の長期化による処方箋枚数の減少が予想されることや、新規開業や設備投資時期の延期などがしばらく継続する可能性も残る。
通期業績予想に対する2Qの進捗率は、売上高で47.7%、営業利益で38.6%、経常利益で50.7%、親会社株主に帰属する当期純利益で50.6%と概ね順調である。
弊社では、下期はコロナ禍の影響がさらに低減するなか、(株)グッドサイクルシステムとの業務提携等が奏功し、売上高は計画を超えてくると想定している。
費用面では、上期に発生した介護報酬改定対応などの開発費用は一過性であり、下期は発生しない。
また、MAPsを基軸にしたシェア向上及び課金売上増加が実現することにより、利益の増加が期待できると考えている。


※前期比は2020年1月−12月累計の参考値との比較。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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