■業績動向
1. 2021年7月期の業績概要
アイル (T:3854)の2021年7月期の連結業績は、売上高が前期比4.1%増の13,203百万円、営業利益が同7.6%増の1,829百万円、経常利益が同8.2%増の1,856百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.9%増の1,224百万円となった。
2020年7月期にあった特需の剥落があったものの、DXニーズの増加とオンライン商談やウェビナーの活用により、売上・利益ともに過去最高を更新し、2021年3月5日に公表した上方修正値も超過して着地した。
事業別では、システムソリューション事業、Webソリューション事業ともに増収増益となった。
好調なシステムソリューション事業に加え、Webソリューション事業ではCROSS事業がけん引役となった。
なお、2021年7月期における新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響は軽微であった。
売上総利益は前期比8.3%増、売上総利益率は同1.8ポイント上昇して過去最高の46.5%となった。
Webとのセット提案による他社との差別化の進展、引き合い増加による選別受注に加え、売上総利益率向上施策やストック売上拡大も寄与した。
一方、販管費は同8.6%増、販管費比率は同1.3ポイント上昇して32.6%となった。
これは主に、将来の成長に向けた人材投資により人件費が増加したことによる。
この結果、営業利益率は同0.5ポイント上昇して過去最高の13.9%となった。
保守サービス料やクラウド利用料などのストック売上は前期比14.6%増の5,259百万円、構成比は同3.6ポイント上昇して39.8%となった。
また、ストック売上総利益は同18.1%増の2,832百万円、構成比は同3.9ポイント上昇して46.2%、売上総利益率は同1.7ポイント上昇して53.9%となった。
ストック売上・売上総利益ともに過去最高を更新し、ストック構成比も好調に推移しており、利益体質に寄与している。
なお四半期別では、2021年7月期第1四半期は前年同期の特需の反動により減収減益となったものの、第2四半期は反動影響が和らいだこともあり増収増益に転じ、通期でも回復基調となっている。
2. 事業別動向
(1) システムソリューション事業
システムソリューション事業の売上高は前期比3.1%増の11,452百万円、売上総利益は同7.0%増の5,298百万円、売上総利益率は同1.7ポイント上昇して46.3%となった。
売上高、売上総利益ともに特需のあった前期を上回り、好調に推移した。
ストック売上拡大による利益体質の強化、営業・開発SE一体体制による案件精度の向上、オプション充実による利益向上開発フェーズごとの多段階契約による手戻りの減少などが寄与した。
なお同社試算によると、前期の特需分を除いた場合、売上高は同19.2%増、売上総利益は同24.0%増であった。
(2) Webソリューション事業
Webソリューション事業の売上高は11.7%増の1,751百万円(CROSS事業は同19.1%増の1,239百万円、その他Web事業は同2.8%減の512百万円)、売上総利益は同17.5%増の838百万円(CROSS事業は同17.2%増の667百万円、その他Web事業は同19.6%増の171百万円)となった。
クラウド型の複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」及び実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」がともに伸長した。
一方、CROSS事業の売上総利益率は同0.9ポイント低下して53.8%となったが、これは将来に向けた開発強化により一時的に低下したものである。
3. 財務状況と経営指標
2021年7月期末の資産合計は前期末比864百万円増加の8,449百万円、負債合計は11百万円減少の3,860百万円となった。
資産では主に現金及び預金、受取手形及び売掛金が増加し、負債では借入金が減少した。
純資産合計は利益剰余金の積み上げにより876百万円増加の4,589百万円となった。
この結果、自己資本比率は同5.3ポイント上昇して54.3%となった。
財務の健全性は良好と言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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