ウイルプラスH Research Memo(1):2021年6月期は上方修正後の計画値を上回り、売上高、利益とも過去最高

Fisco

発行済 2021年10月12日 15:11

更新済 2021年10月12日 15:31

■要約

ウイルプラスホールディングス (T:3538)は、輸入車販売事業を行う4社の連結子会社を持つ純粋持株会社である。
Jeep、FIAT、BMW、MINI、VOLVO、PORSCHEなど10ブランドの正規ディーラーを営む。
祖業の地である福岡県を始め、東京都や神奈川県、山口県、東北エリアなどで34店舗を展開している(2021年6月末現在)。


1. 加速するEV化に向けた取り組み
日本政府は2021年4月に、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする『脱炭素社会の実現』達成のために、2030年度のCO2排出量を2013年度比で26%削減から46%削減に引き上げることを発表した。
また、6月に発表された『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』では、遅くとも2030年代半ばまでに乗用車の新車販売の全てを電動車化するための包括的な措置を講じている。
脱炭素化で先頭を走る欧州では、各自動車メーカーがEV化で日本に先行しているが、同社が取扱うブランドのEVは豊富であることから、同社にとっては追い風と言える。
攻めの経営をする同社では、加速するEV化での先行者利得を追求する方針で、全店舗に最新の充電器の設置を推進するほか、いち早くEVの試乗体験を提供するために、EVのデモカー導入も推進している。
また、販売だけでなく整備面でも人材育成に取り組む方針である。


2. 業績動向
2021年6月期の業績は、売上高が前期比16.3%増の40,776百万円、営業利益が同97.3%増の2,290百万円となり、売上高、利益ともに過去最高を更新した。
また、2021年5月に発表した2度目の上方修正値に対しては売上高で3.4%、営業利益で8.7%上回った。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の移動手段として自動車が見直されたこともあり、引き続き需要が堅調に推移したことや店舗投資効果により、新車販売が好調に推移したことに加え、中古車販売が堅調に推移した。
中古車販売は仕入れから販売のサイクルが短く、利益率が高いため、大幅増益も牽引した。
また、店舗展開に関わる投資は継続したものの、エンジンの多様化に対応した店舗当たりのデモカー台数の増加が一段落したことにより減価償却費は前期比横ばいとなった。


2022年6月期の連結業績予想については、売上高で41,067百万円、営業利益で前期比6.1%減の2,149百万円を見込んでいる※。
コロナ禍の収束期待が高まる一方、再び感染拡大の兆しが見られるなど、先行きは依然として不透明である。
これに加えて半導体不足等の影響により、新車では供給の不安定が続くほか、中古車では受給の変化により多少の影響が想定される。
このため、新車供給状況や中古車市場の変化の影響を鑑み、営業利益は前期比微減を予想している。


※2022年6月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、連結業績予想は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、売上高の対前期増減率は記載していない。



3. 株主還元策
配当性向について同社は、これまではおおむね15%前後を目途としていたが、2021年6月期より配当性向の目途を17.5%へ、さらに2022年6月期からは20.0%への引き上げを予定している。
この方針に基づき、2022年6月期は1株当たり29.13円(中間配当5.0円、期末配当24.13円)を予定している。
なお、2021年6月期は、当初1株当たり13.59円を計画していたが、業績及び財政状況等を鑑み、期末配当金を2021年5月10日に発表した計画値から2.47円増配の23.26円とした。


■Key Points
・加速するEV化に積極的に対応することで、先行者利得を追求
・2021年6月期業績は上方修正後の計画値を上回り、売上高、利益ともに過去最高を更新
・2022年6月期より配当性向の目途を20.0%へ引き上げ予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)


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