新生銀が反対表明、SBIは条件に応じず 敵対的TOBに

Reuters

発行済 2021年10月21日 15:48

更新済 2021年10月21日 20:27

[東京 21日 ロイター] - 新生銀行 (T:8303)は21日、「株主共同の利益に資さない」(工藤英之社長)などとし、SBIホールディングス (T:8473)が実施中のTOB(株式公開買い付け)に反対すると発表した。賛成するための条件も同時に示したが、SBIは同日夕、これに応じない方針を表明。銀行業界では異例の敵対的買収に発展する。

新生銀はこの日開いた取締役会で反対意見を最終決定した。株式の取得上限を48%とするSBIのTOBでは残された株主に不利益が生じる恐れがあると懸念するとともに、1株2000円のTOB価格は同行の価値を反映した価格ではないと判断した。

その上で新生銀は、SBIに対して上限を撤廃し、価格を引き上げることを求めた。11月19日までに条件に応じればTOBに賛同するとした。

会見した工藤社長は、TOBに単に反対するだけではなく、株主への価値最大化の観点から実現可能な条件を提供したと説明。「(両社による)シナジー発揮の可能性は構造的にハードルがある」と述べ、今後SBIに協議を申し入れて議論していく考えを明らかにした。

一方のSBIは同日夕、買い付け上限の撤廃と価格引き上げに応じるつもりはないと発表した。TOBに応募する株主には買い付け価格に反映された「プレミアムを享受する機会を提供」し、応募しない株主には「(新生銀の)企業価値の向上による利益」を提供するとした。

SBIは新生銀の議決権の過半を取得するには銀行法上の許可を得る必要などがあるとして、TOBの上限を48%に設定していた。

SBIが条件に応じない方針を示したことで、新生銀が11月25日に予定している臨時株主総会は開催される可能性が高まった。新生銀は同総会で、既存株主に新株予約権を付与する買収防衛策の発動を問うことにしている。

新生銀の工藤社長は会見で、友好的買収者であるホワイトナイト(白馬の騎士)を引き続き探す考えも示していた。「臨時株主総会までの間も最適なパートナーを探す取り組みを継続する」と述べた。