C&R社 Research Memo(9):2022年2月期はすべての事業で増収を見込み、注力分野を中心に投資も積極化

Fisco

発行済 2021年11月08日 15:39

■クリーク・アンド・リバー社 (T:4763)の業績見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) クリエイティブ分野(日本)
クリエイティブ分野(日本)の売上高は前期比11.3%増の29,000百万円、営業利益は同26.7%増の2,250百万円と期初計画を売上高で1,000百万円、営業利益で250百万円上方修正した。
ゲーム並びに「漫画LABO」によるヒット作の創出が上振れの主因となっている。
なお、下期だけで見ると前述した先行投資により営業利益で前年同期比0.9%減となる計算だが、保守的な印象が強い。


テレビ・映像分野の下期については、2020年8月に子会社化したウイングの上乗せ効果が一巡するものの、1ケタ台の増収増益が見込まれている。
ゲーム分野については、同社並びにクレイテックワークスによる品質の高い開発力が評価されており、新作タイトルの受託開発需要が旺盛なことから下期も好調が続く見通しだ。
同社では旺盛な需要に応えるため、2021年10月にゲームクリエイター育成プログラム「クリエイティブアカデミー」において、就業サポート付きの無料講座「ゲームエンジニアアカデミー」を開講し、人材リソースの強化に取り組んでいる。
Web分野についてもアウトソーシング事業の回復基調が続いており、下期も増収増益が見込まれている。


また、電子書籍・YouTube関連については市場拡大を追い風に2ケタ成長が続く見通しだ。
特に、分業体制でコミックを制作する「漫画LABO」では、ヒット作品創出の知見が蓄積してきたことから、下期以降もさらなる成長が期待される。
なお、「漫画LABO」のビジネスモデルは、電子書籍の販売額からプラットフォーマーに支払う手数料を差し引いた金額が売上高となり、ここから作家等に制作料を支払い、残った部分が営業利益となる。
2021年2月期より若干の黒字に転じていたが、複数のヒット作品を創出した2022年2月期より本格的に収益に貢献し始めている。


YouTube関連ではゲーム実況者やプロゲーマーを対象としたサポートプログラム「Online Creator GAMES」を立ち上げ、同領域でのコンテンツ拡充に注力し始めている。
(株)セガやカプコン (T:9697)、任天堂 (T:7974)などの大手企業とゲームソフト・著作権利用に関する包括的許諾契約を締結するなど、ゲームコンテンツを活用できる環境も整備しており、今後は同領域でのチャンネル数や視聴回数拡大による収益貢献も期待される。


そのほか、建築分野においてVR建築展示場「XR EXPO」を2021年冬にオープンする予定となっている。
プラットフォーム構築費用は経済産業省の助成金を活用し、当初は無料で10社程度のハウスメーカーや設計事務所等にサービス提供していく予定となっている。
顧客企業は同展示場内にVRモデルハウスを展示し、顧客と商談することが可能となる。
無料期間終了後はメンテナンスフィーを徴収するビジネスモデルとなる。
将来的には現在、同社のネットワークに登録している建築家(約4,500名)も利用できるようにし、ビジネスを拡大していく考えだ。


(2) クリエイティブ分野(韓国)
クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前期比7.1%増の3,500百万円、営業利益は同20百万円(前期は49百万円の損失)を見込む。
テレビ業界向けエージェンシー事業は伸び悩みが続くものの、WebマンガやYouTube関連ビジネス等の成長により増収を見込んでいる。
損益面でもすでに黒字体質に転換しており、若干ながらも利益を計上できる見通しだ。


(3) 医療分野
医療分野の売上高は前期比12.1%増の4,400百万円、営業利益は同24.3%増の900百万円と2期ぶりの増収増益に転じる見通し。
常勤、非常勤医師や産業医等の紹介事業が下期も堅調に推移するほか、「レジナビFairオンライン」の開催による収益貢献を見込んでいる。
2021年2月期はコロナ禍によるマイナス影響額が売上高で6億円、営業利益で3億円あったことを考慮すると、会社計画は保守的な印象が強い。


(4) 会計・法曹分野
会計・法曹分野の売上高は前期比5.3%増の2,100百万円、営業利益は同9.5%増の110百万円と2期ぶりの増収増益に転じる見通し。
下期だけで見ると売上高は前年同期比8.0%増の1,062百万円、営業利益は同111.0%増の70百万円を見込んでいることになる。
同社グループのなかでは回復の動きがやや遅れているものの、第2四半期以降は増収増益に転じており、下期も市場環境が再度悪化するようなことがなければ回復基調が続き、計画達成は可能と見られる。


(5) その他の事業
子会社9社で構成するその他の事業の売上高は前期比13.6%増の2,500百万円、営業損失は同50百万円(前期は104百万円の損失)となる見通し。
下期だけで見ると、売上高は前年同期比10.9%増の1,275百万円、営業損失は同35百万円(前年同期は22百万円の損失)となり、増収となるものの損失が若干拡大する見込みとなっている。
これは2023年2月期以降の成長に向けて、プロモーションや人材ネットワーク強化のための投資を行うことが要因となっている。


注目される事業としてXR(VR・AR・MR)、AI分野が挙げられる。
XRに関しては医療分野での事業拡大に向けた準備を進めている。
遠隔医療(教育含む)での潜在的な需要は大きく、大手企業とも連携しながら事業を育成していく考えだ。
コロナ禍の影響で事業の立ち上がりが遅れたものの、2023年2月期以降に本格的に動き始める見通しだ。
医療分野以外でも、建設・製造分野における教育研修や監視システムとしての利活用も見込まれており、XR事業の今後の成長が期待される。
一方、AI分野ではIdrasysが提供するAI予測ツール「Forecasting Experience」の拡販に向け、展示会への出展やセミナー開催などで新規リードを獲得していくほか、今後も機能向上に向けた開発投資を行い、事業拡大を目指していく方針となっている。


そのほかの子会社について見ると、リーディング・エッジ社に関しては引き続きエンジニアの採用・育成に取り組み、需要が旺盛なロボット・AI業界等向け派遣サービスの拡大により10%超の売上成長を目指す。
利益面では投資も継続するため、若干増程度にとどまる見込みだ。
ファッション分野のインター・ベルは、派遣サービスの回復基調が続き増収増益を見込んでいる。
人材メディア事業を展開するプロフェッショナルメディアについては、「DXキャリア」を基盤としたメディア事業やエージェンシー事業の拡大に取り組んでいく計画だ。
企業と弁護士のマッチングプラットフォーム「JURISTERRA」の開発を行うCREEK & RIVER Global, Inc.については、一部機能を使った紹介サービスを継続しながら、プラットフォームの実用化に向けた取り組みを進めていく計画となっている。
Gruneについてはインドネシアの技術系人材を活用したラボ型オフショア開発サービスの拡大が期待され、きづきアーキテクトについては、東京都の「5G技術活用型開発等促進事業」におけるスタートアップ企業支援を引き続き推進していく予定となっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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