日産、採算改善で今期利益上振れ 売上高・販売は部品不足で下振れ

Reuters

発行済 2021年11月09日 17:30

更新済 2021年11月09日 19:54

[東京 9日 ロイター] - 日産自動車は9日、2022年3月期の連結業績について、利益予想を上方修正した。純損益は1800億円の黒字(前期は4486億円の赤字)の見通し。従来予想は600億円の黒字だったが、販売奨励金が減少し収益性が改善。持ち分法適用会社の業績改善による投資利益も寄与する。一方、半導体不足などで売上高予想は従来から1兆円近く、世界販売計画は60万台引き下げた。

今期純損益のアナリスト18人による事前の市場予想(IBESのコンセンサスによる予想)は984億円の黒字で、修正後の会社予想は市場予想を上回る。

営業損益も1800億円の黒字(前期は1506億円の赤字)に引き上げた。従来は1500億円の黒字を見込んでいた。新車投入効果などで販売奨励金が減るほか、販売金融事業も想定以上に好調で利益を押し上げる。円安効果も寄与する。

足元の円安基調を受け、今期の前提為替レートは1ドル=110円(従来は=108.4円)、1ユーロ=130円(同129円)に見直した。

日産は営業利益率(中国合弁会社比例連結ベース)について、今期に2%、24年3月期に5%を上回る目標を掲げる。アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は会見で、販売台数を追う「量」ではなく「価値の提供を優先することで利益が改善されている」と指摘。「上方修正した営業利益率は2.8%となり、今期目標の2%を上回ることができると確信している。5%に向けても順調に進んでいる」と述べた。