アジア投資 Research Memo(7):物流施設や植物工場など、プロジェクト投資の進捗には一定の成果

Fisco

発行済 2021年12月08日 15:27

更新済 2021年12月08日 15:45

■日本アジア投資 (T:8518)の主な活動実績

1. PE投資
(1) ファンド運用残高(ファンド新設の進捗)
同社グループが管理運営等を行っているファンドの運用残高は10件で15,884百万円(前期末は11件で16,450百万円)と減少した。
1ファンド(ファンド総額1,001百万円)※を新規設立した一方、清算中であった1ファンド(同500百万円)、満期延長中であった1ファンド(同1,178百万円)が減少した。


※同社とあおぞら銀行で設立した合弁会社(持分法を適用していない関連会社)が運営し、主に国内のベンチャー企業を対象として、他社の運営するファンドが保有する投資証券の買い取り等、広範な投資機会を追求するファンドとなっている(ファンド名は、『AJC企業育成投資事業有限責任組合』)。



(2) 投資実績(戦略投資の実行、及び既存資産の流動化の進捗)
同社グループの自己勘定及び同社グループが管理運営等を行っているファンドからの投資実行額については5社に対して合計1,282百万円を行った。
そのうち、プロジェクト投資のパートナー企業への戦略投資が3件含まれており、戦略投資残高は1,483百万円(前期末は1,155百万円)と増加した。
また、前中計から進めてきた既存資産の売却及び流動化では予定していた未上場株式の売却がずれ込んだ一方、事業承継を支援するファンドからの投資実行があったことから、戦略投資以外のPE投資残高は6,270百万円(前期末は5,612百万円)に増加した。
それらの結果、PE投資全体の投資残高は87件で7,754百万円(前期末は88件で6,767百万円)となっている。


(3) IPOの実績
IPOの実績については、2021年6月10日にワンダープラネット (T:4199)※が東証マザーズ市場に上場した。


※エンターテインメントサービス事業を展開。



2. プロジェクト投資
(1) 投資実績
投融資実行額は10件(そのうち、追加投資6件)に対して合計932百万円となった。
他方、プロジェクトの売却はなかったことから、2021年9月末の投融資残高は37件で6,986百万円(前期末は33件で6,088百万円)と順調に積み上がった。
そのうち16件がメガソーラープロジェクト、5件がメガソーラー以外の再生可能エネルギープロジェクト、16件がその他のプロジェクト(スマートアグリ1、ヘルスケア9、商業ビル1、物流施設5)となっている。


(2) 各事業の進捗
a) メガソーラー
プロジェクトの新規実行及び売却がなかったことから、2021年9月末のプロジェクト数は16件(18発電所)で合計70.5MWと前期末からの変化はなかった。
また、そのうち1件が売電を開始し、売電中のプロジェクトは11件(13発電所)で合計59.7MWとなっている。
下期は2件のプロジェクト売却を予定しているようだ。


b) メガソーラー以外の再生可能エネルギー
2021年9月末のプロジェクト数は、木質バイオマス発電1件(2.0MW/売電中)、バイオガス発電3件※(合計1.13MW/売電中)、風力発電1件(最大25.2MW/建設・企画中)の合計5件となっており、前期末からの変化はない。


※そのうち1件は、バイオガス発電所のオペレーターに対する投資。



c) スマートアグリ(植物工場)
丹波篠山工場(レタス)については、大手コンビニエンスストア向けの販路開拓に成功したことに加え、植物工場野菜への需要拡大※を見据え、生産能力拡大を目的とした増設(第2工場)に着手した(2021年9月に竣工済み)。
増設部分が本格稼働すると、生産量が2.3倍(年間約470トン)にまで拡大する見込みである。
工場の運営は戦略投資先である(株)森久エンジニアリングが担っているが、特許に基づく技術力により、生菌数が極めて少なく高品質かつ無農薬な野菜の量産を実現し、品質に厳しい大手企業からも高い評価を得ている。


※気象に影響されず安定した品質・量・価格供給が可能な点に加えて、施設内で土を使わず無農薬で生産された野菜は、露地栽培に比べ安全かつ衛生的で洗浄の手間も少なく、水資源や労働力の削減にもつながる点が評価されているようだ。



d) ヘルスケア
新たに障がい者グループホーム3件(茨城県古河市、群馬県館林市、埼玉県川越市)への融資実行により、2021年9月末のプロジェクト数は合計9件(高齢者向け施設2件、グループホーム7件)となった。
また、そのうち同社3件目となる栃木県宇都宮市のグループホームが営業を開始している。
さらには、昭和リース(株)、ユニ・アジアインベストメント(株)との共同により、グループホームを対象とするファンド※への匿名組合出資を実行した。
その後、2021年11月には、(株)商工組合中央金庫が当ファンドに対し不動産ノンリコースローンの融資枠を開設した。
当ファンドが投資するグループホームは、24時間支援体制の「日中サービス支援型」となっているが、他のプロジェクトと同様、戦略投資先であるソーシャルクルーが運営を担うことになる。
日本アジア投資では、今後も他の金融機関との協業により、同様のスキームでのファンド出資を拡大していく方針である。


※2021年8月に組成されたファンド。
障がい者グループホームを投資対象としている点が新規性に富んでおり、他に例を見ないファンドである。
同社では、当ファンドが金融機関の資金運用ニーズとSDGs分野の資金需要を結び付けて社会の課題を解決するプラットフォームになると見込んでいる。



e) ディストリビューションセンター(物流施設)
新たに物流施設1件(詳細は現時点で非公開)への投資実行により、2021年9月末のプロジェクト数は合計5件となった。
プロジェクトの開発は、戦略投資先であるKICホールディングス(株)が行っている。
また、そのうち1件(埼玉県越谷市)が2021年10月に竣工した。
本件は、2022年1月に複合型電力供給システム※を導入し、施設の利用電力の60%を太陽光でまかなう低環境負荷型物流施設として運用される予定となっており、戦略投資先であるスマートソーラー(株)がシステム開発を担っている。
したがって、戦略投資先同士の協業が成功した事例としても注目される案件であり、今後もこの動きが広がっていくものと見られる。


※物流施設の屋上に設置する太陽光パネルと、蓄電池、商用電源を、複合的・効率的に運用し、発電したクリーンエネルギーを施設の入居者が最大限消費することができる。
加えて、停電時には自立した非常用電源としても機能する。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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