エノモト Research Memo(3):自動車やスマートフォンなど向けに高品質部品を製造

Fisco

発行済 2021年12月09日 15:13

■事業概要

1. 事業内容
エノモト (T:6928)は主にリードフレームやコネクタ用部品のプレス加工、メッキ加工、インサート成形、及びそれらの製造に使われる精密金型や周辺装置の製造販売を行っている。
同社グループは、同社と子会社4社(連結子会社3社、非連結子会社1社)で構成され、国内4工場、海外2工場(フィリピン1工場、中国1工場)という生産体制になっている。
同社の製品はIC・トランジスタ用リードフレーム、オプト※用リードフレーム、コネクタ用部品、その他という4つの製品群に分けられ、2022年3月期第2四半期の製品群別売上高構成比はそれぞれ34.0%、13.8%、49.3%、2.9%であった。
ちなみに、IC・トランジスタ用リードフレームは自動車や民生用機器向け、オプト用リードフレームは自動車や照明・ディスプレイ向け、コネクタ用部品は自動車やスマートフォン、ウェアラブル端末向けの部品が多く、その他はリレー用部品などである。
また、用途別量産品の売上高構成比は、車載30.3%、スマートフォン30.6%、ウェアラブル端末2.4%、データセンターやサーバー向けが増えている民生・産機・その他36.7%とバランスが取れている。


※オプト:光電子工学(オプトエレクトロニクス)の略称。



(1) IC・トランジスタ用リードフレーム
IC・トランジスタ用リードフレーム製品群では、IC・トランジスタ用リードフレームとその製造に使用する精密金型や周辺機器を製造し、各種部品メーカーに販売している。
IC・トランジスタは民生用機器や産業用機器、自動車部品など広範に使用される電子部品で、同社は金属材を精密加工してIC・トランジスタの部品となるリードフレームを製造している。
パワー半導体向けリードフレームや小信号デバイス向けリードフレームといった製品も、安定した品質で大量に製造することができる。
なかでも、様々な異形状材料への対応力や、パワー系デバイスに使用される放熱効果の高いカシメ※部品などに強みがある。
また同社は、基本の「抜く・曲げる」に「つぶす(コイニング)・絞る」など多彩で高度な技術を組み合わせることができるため、あらゆる分野において顧客の高度な要求に対応することができる。
こうした強みを発揮することで、これまで医療機器や機械部品、太陽電池関連向けなどにも高難易度の製品を多数開発してきた。
様々な加工技術を有する同社は、厳しい顧客ニーズに対応するだけでなく、環境に配慮した製品づくりも推進し、新たな付加価値も提供している。
なお、近年、HEV(ハイブリッド車)・EVやスマートフォンなどデジタル機器の電力損失低減のため、また、新たな電源技術の開発・発展や高効率な電力供給といった環境的側面から、高出力・省エネを支える高機能パワー半導体の需要増加が見込まれている。
それらに使用されるリードフレームには高電圧・高電流及び高温への対応に加えて、従来品を超える精度が要求されることから、同社の高いプレス加工技術を最も生かせる分野の一つと言える。


※カシメ:金属の塑性変形(変形が増すにつれてより硬くなること)を利用した接合方法。



(2) オプト用リードフレーム
オプト用リードフレーム製品群では、LED用リードフレームとその製造に使用する精密金型や周辺機器の製造販売を行っている。
現在、様々な分野で樹脂成形を含めた一貫生産の要求が増しており、金型と樹脂成形を融合した同社の技術が不可欠になっている。
同社はLED用リードフレームについて、金型の設計・製作から試作品開発、大量生産まで一貫して対応しているが、LED製品の形状を決定する重要な部品であることから、LEDメーカーと連携して生産している。
主要製品はLEDディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト、自動車の各種ランプ、そのほか産業用や民生用、照明用のLEDに使用されるリードフレームである。
なかでも大型ディスプレイ向けに強みがあり、タテ型(砲弾型)LED用リードフレームは国内トップシェアを誇る。
また、輝度や耐久性といった面で難易度の高いデザインへの要求も多く、長年の経験とノウハウによってカスタマイズした最適な提案で応えている。


(3) コネクタ用部品
コネクタ用部品製品群では、コネクタ用部品とその製造に使用する精密金型や周辺機器の製造販売を行っている。
コネクタは電子回路や光通信において配線を接続するために用いられる部品・器具のことで、同社はスマートフォンなどに利用される基板対基板用(Board to Board)コネクタやFPC(Flexible Printed Circuits)コネクタ、細線同軸コネクタなどの金属端子部品を製造している。
近年、スマートフォンやウェアラブル端末のハイスペック化に伴って、コネクタやコンタクトピンの極小化が求められるようになり、狭ピッチ品へのニーズが非常に高まっている。
これに対して同社は、金属プレス加工の複雑な曲げ形状の技術と樹脂成形加工の技術を融合することで、世界最小クラスの狭ピッチコネクタ部品の生産も手掛けている。
このように、長年培ってきたプレス技術と成形技術により、同社は難易度の高い様々な要求に対して、最適なソリューションを提供することができる。
このため近年、精密性と堅牢性が厳しく求められる自動車の電装化向け需要も増加してきている。
なお、同社の国内外の工場では、金属端子部品のプレス加工やメッキ加工、樹脂成形加工から設計、製造までの一貫生産を行っているほか、OEM(Original Equipment Manufacturer)による供給にも対応している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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