明豊ファシリ Research Memo(7):2022年3月期業績見通しは保守的な印象で、上振れ余地残す

Fisco

発行済 2021年12月21日 15:07

■今後の見通し

1. 2022年3月期の業績見通し
明豊ファシリティワークス (T:1717)の2022年3月期の業績は、売上高が前期比3.1%増の4,370百万円、営業利益が同1.1%増の920百万円、経常利益が同1.0%増の920百万円、当期純利益が同2.8%増の638百万円と期初計画から売上高のみ100百万円上方修正し、各利益は据え置いた。
売上高は「アットリスクCM方式」が2021年3月期でなくなったことにより4期ぶりの増収に転じ、営業利益、経常利益は過去最高を連続更新する見通しだ。
経常利益に関しては12期連続増益となる。


第2四半期累計業績を上方修正したにもかかわらず通期の利益を据え置いたのは、コロナ禍がまだ収束しておらず今後の業績に与える影響が不透明なためだ。
ただ、第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で46.2%、営業利益で43.8%と直近3年間の平均進捗率(売上高43.9%、営業利益36.7%)を上回っており、第3四半期以降にコロナ禍の状況がさらに深刻化し業績面でマイナスの影響を与えるような状況が生じなければ、利益面でも上振れする可能性があると弊社では見ている。
これは、受注は引き続き順調で、下期に特段の費用増要因があるわけではないためだ。


市場環境としては、CM事業の対象となる2021年度の建設投資額は非住宅、建築補修投資合わせて前年度比2.6%増の22.5兆円が見込まれており、これら対象市場におけるCM事業採用率の上昇により今後も拡大余地があると見ている。
また、建設業界の環境は需給軟化と建設資材の高騰等もあって厳しくなっているものの、費用対効果の高いサービスを提供する同社に影響はないと考えられる。
また、環境対応や建物の長寿命化、働き方改革やDX支援等のニーズが高まっていることも追い風となる。
CM市場の拡大余地に加えてこうした経営環境の変化により、発注者のニーズも多様化、複雑化しており、同社のCMサービスに対する引き合いは今後も増加していくものと予想される。


費用面では、同社の競争優位性をさらに高めるためのDX(システム開発)投資を継続するほか、人員の増員に伴う費用増を見込んでいる。
人員の採用計画については下期に8名程度を見込んでいるが、引き続きスキルが高く同社の経営理念に合致した人材を厳選して採用し、数よりも質を重視する方針に変わりない。



ESG/SDGsをテーマとした新たなCM需要の取り込みと、DX支援事業の育成に注力

2. 今後の事業方針について
同社は2022年3月期の経営方針として、2021年を社会的な転換点となる一年と位置付け、より広い視野で発注者支援事業としての需要を高めることを目標とし、以下の2点に取り組む方針を示している。


(1) 視野を広げたCM事業の創造と新たな価値の提供
中立性、高い技術力、幅広い技術的網羅性、デジタル活用力など同社独自の競争優位性を生かし、多様化、複雑化する顧客の課題解決を支援し、個々の要求を上回る価値(品質、コスト、スピード)の提供に取り組んでいく。
特に、多様化するニーズに対して、サービス提供分野ごとの専門性を高めていくと同時に、これらのニーズを複合的に支援する「面」の事業を推進することで、社会・地域への貢献や事業の競争優位性確保といった発注者のプロジェクト目的の達成を支援していく考えだ。


競争優位戦略として、ESG/SDGsの視点及びDXを活用した事業創造によって、新たなCM需要の創出と価値提供を図っていく。
企業理念でもある「フェアネス」「透明性」「顧客側に立つプロ」としての強固なガバナンス体制を維持しながら、環境に配慮した施設の導入・運用支援(ZEB※、オフグリット等脱炭素化に資するCMの提供)のほか、施設の長寿命化のための各種提案、実現支援(CREMの提供)を推進しており、2021年8月より開始した脱炭素化支援コンストラクション・マネジメントサービスもその1つとなる。
DXを活用した事業創造に関しては、自社開発した「MeihoAMS」や「MeihoPMS」の拡販を進めていく予定だ。
ストック型ビジネスであることに加え、既に社内で活用したシステムを外販するため(一部カスタマイズ開発あり)、開発に係るコスト負担は少なく、導入社数が拡大すれば安定収益源となる可能性がある。


※Net Zero Energy Building略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。



また、CM業務の価値向上を目的とした新組織「ナレッジ・センター」を2021年4月より立ち上げている。
CM業務で蓄積した全社のドキュメンテーション(ノウハウ)と各種データを融合することで、CMのナレッジを共有化していく組織となり、社内の人材教育システムとして活用していくことにしている。


(2) 競争優位性としての生産性向上
競争優位性を確保するための施策として、同社では人材育成と働く環境や働き方の進化による生産性の向上を推進していく。
高品質なCMサービスを提供できる人材育成のための取り組みとして、企業文化や発注者支援業務への適応を支援するOJTの充実(ナレッジセンターの活用含む)、優秀な人材の積極的な採用、時間をかけて多くの人の目を通す納得性の高い人事評価制度と処遇、の3点を推進している。


また、働く環境や働き方の進化としては、すべての業務を社内のデジタル基盤上で実行できるよう構築しており、90%超の高いテレワーク率でも高い生産性を維持できる環境整備を構築し、現場の声もくみ上げながら日々進化させている。
また、女性の活躍をはじめダイバーシティに基づく同社人材や企業風土を議論し、人的資本のさらなる可能性の研究も行っている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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