シンバイオ製薬 Research Memo(8):22年以降も営業利益は年率20%超の成長見込む

Fisco

発行済 2021年12月23日 15:28

■中長期見通し

1. 中期経営計画
シンバイオ製薬 (T:4582)が2021年2月に発表した3ヶ年の中期経営計画では、最終年度となる2023年12月期に売上高12,369百万円、営業利益2,099百万円、経常利益2,088百万円、当期純利益1,778百万円、1株当たり利益46.5円を業績目標として掲げた。
2022年12月期以降も2ケタ増収増益が続く見通しとなっている。


売上高については再発・難治性DLBCL向けでの販売拡大が続くことに加えて、RI製剤が2022年後半に販売開始されることで、多剤併用療法を使用している医療機関においても「トレアキシン(R)」の利用が進み、売上拡大につながると見ている。
薬価ベースで見ると、2020年12月期の81億円から、2023年12月期には153億円に拡大することが見込まれる。
また、現在も複数の製薬企業が「トレアキシン(R)」を含めた多剤併用療法での臨床試験を進めている状況にあり、今後も「トレアキシン(R)」を用いた既存適応症や新適応症での治療法が増えることで、2024年12月期以降も売上拡大が続く可能性は十分ある。
国内では、RTD/RI製剤の特許有効期限となる2031年までは事実上の独占販売状態が続くと見られ、「トレアキシン(R)」が収益をけん引していくことになる。


売上総利益率については、2021年12月期の76.0%から2022年12月期は79%、2023年12月期は80%を見込んでいる。
FD製剤からRTD/RI製剤への切り替えが進むことにより利益率の上昇を見込んでいる。
2022年末におけるRTD/RI製剤の販売比率は95%程度を想定している。
FD製剤を今後も使い続ける医療機関が一部残ることを前提としているが、機能面の優位性を考えれば100%近い医療機関がRTD/RI製剤に切り替えるものと予想される。


販管費については2021年12月期の5,596百万円から2022年12月期は6,940百万円、2023年12月期は7,796百万円と増加傾向が続く見通しとなっている。
このうち、研究開発費は2021年12月期の2,019百万円から2022年12月期は約31億円(うち、マイルストーン約5億円)、2023年12月期は約38億円(うち、マイルストーン約5億円)を計画している。
マイルストーンを除いたベースで増加傾向が続くが、これは「BCV」の開発費用増加が主因だ。
一方、その他販管費については2021年12月期の3,577百万円から2022年12月期は約37億円、2023年12月期は約39億円と若干増を計画している。
「トレアキシン(R)」の営業費用については物流費の増加程度となり、人員体制については現状の規模を維持する予定となっている。
一方で、「BCV」のグローバル展開に向けた人件費の増加を見込んでおり、米国子会社で若干名を採用する予定にしている。
なお、同社はRTD/RI製剤の特許が切れる2032年以降も成長を継続していくための重要課題として、「BCV」に続く新規開発候補品の探索を進めているが、導入に関する一時金費用については今回の業績計画には織り込んでいない。



2021年を第2の創業元年とし、グローバル・スペシャリティファーマを目指す
2. 長期目標
同社は2005年に創業して以降、バイオベンチャーとして「トレアキシン(R)」の開発に取り組み続け、2021年12月期に初の黒字化を達成できるところまでたどり着いた。
このため、同社は開発ステージから収益成長ステージへと移行する2021年を第2の創業元年と位置付け、持続的な事業価値の増大並びに創造に取り組むと同時に、「BCV」の海外展開を積極的に推進することで、グローバル・スペシャリティファーマとして成長を目指していく方針を打ち出した。


具体的には、「トレアキシン(R)」の収益最大化に向けた取り組みに加えて、「リゴセルチブ」や「BCV」の上市を目指すことで収益の持続的な成長を図っていく。
加えて、各パイプラインが持つ根源的な事業価値をアカデミア等との共同研究などを進めながら見い出し、事業価値の最大化に結び付けていくと同時に、新規パイプライン導入などにも取り組んでいく予定だ。


同社は経営のキーワードとして、「Local & Global」「50・50 in 30」を掲げている。
これは「BCV」の開発を成功に導くことでグローバル製薬企業として飛躍し、2030年に海外売上比率50%を目指すことを意味したものとなる。
「BCV」については造血幹細胞移植後の各種ウイルス感染症に対する治療効果が期待されるほか、臓器移植後のウイルス感染症やその他領域(皮膚科、眼科)におけるウイルス感染症、さらにはがん疾患領域での開発も進む可能性があり、潜在的な成長ポテンシャルは極めて大きく、今後の開発動向が注目される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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