アライドアーキ Research Memo(3):独自SaaSツールの提供等によりマーケティングDXを包括的に支援(2)

Fisco

発行済 2022年01月06日 15:13

■会社概要

2. 企業特長
(1) 成長モデル
アライドアーキテクツ (T:6081)の売上高は、顧客企業数と顧客単価の掛け算方式で積み上げられる(ストック型ビジネス)。
すなわち、「SaaSツール」により顧客企業数を積み上げるとともに、比較的マーケティング予算のある大手企業に対しては、顧客ニーズに合わせた様々な「デジタル人材」を組み合わせた総合提案により顧客単価の向上を目指す成長モデルと言える。


(2) 収益構造
同社の売上原価は、SNSなどへの広告出稿費用のほか、プロジェクトにかかる外注費、人件費とSaaS運営費(サーバー費用)を中心に構成される。
そのうち、取引の基盤となるSaaSツールについては、積み上げ型の月額または従量課金モデルであるうえ、追加的な費用負担の少ないプラットフォームビジネスであるため、売上高が増えるほど収益性が高くなるところに特徴がある。
特に、国内・海外のSaaS事業は原価率が著しく低いため、損益分岐点売上達成後の利益成長が期待できる。


なお、同社では、グループの収益性を図る重要な経営指標(KPI)として、売上高ではなく「粗利売上」※を重視している。
これは、コア事業に付随して発生する広告売上(広告運用代行)については、売上高に対するインパクトが大きくなる一方、粗利益率が極端に低いことから、広告売上の構成比(セールスミックス)次第で、売上高の増減や粗利益率に大きな影響を及ぼし、業績の時系列比較が実態とかけ離れてしまうことが理由である。
この点については、2022年度から収益認識基準が適用されることにより、広告原価が売上高から控除されるため、今後の「売上高」は「粗利売上」と近い概念となることが想定される。


※粗利売上=(同社単体:売上高−直接原価)+(連結子会社:売上総利益)により算定したもの。
直接原価のほとんどは、広告売上に係る原価(広告出稿費用)であるため、その影響を排除したものとして捉えることができる。



(3) 同社の優位性
a) 新たなマーケティング領域における知見やノウハウ
同社の優位性は、企業を取り巻く環境が大きく変化するなかで、他社に先駆けてSNSマーケティング支援を展開し、そのためのツールとしてのSaaSやソリューションの提供により、独自のポジションを確立したところにある。
特に、コロナ禍によりマーケティング領域におけるDXへの流れが加速するなかで、6,000社を超える企業への支援実績を通じて知見やノウハウを蓄積してきた同社には、大きなアドバンテージがあると期待できる。


b) 自社開発による多様なSaaSツールの提供
創業以来、数々の実効性の高い独自SaaSツールの提供により、少ない広告予算や人員でもマーケティングDX効果を促進できることや、各種SNSを幅広く網羅していることが顧客層拡大における強みとなっており、複数ツールによる相乗効果も発揮されている。
また、海外子会社Creaditsの展開するクリエイティブ・プラットフォームについても、事業モデルの革新性が顧客企業からも一定の評価を受けている。
本社及びベトナム・ハノイに加え、ホーチミンに第3の開発拠点を新設しており、さらなる開発体制の強化にも取り組んでいる。


c) マーケティングDXの実現に向けた支援体制やデジタル人材
また、他社(及び第一人者)との連携や独自SaaSツールの提供などにより、顧客企業のマーケティングDXの実現に向けて、戦略立案から実行・運用まで包括的に支援できるグループ体制を構築したところや、グループ社員数189名のうち、外国籍比率35%以上(国籍数10以上)、エンジニア比率25%以上で構成されるデジタル人材もソリューション提供の基盤となっている。


d) 成長加速に向けた事業ポートフォリオの確立
堅調に推移している国内事業と成長性が期待できる海外事業によるバランスの良い事業ポートフォリオも強みと言える。
フェーズとして発展途上にあることは否めないものの、国内市場が成熟化しつつあるなかで、国内事業で稼いだ資金を成長性の高い海外事業へ投資し成長を加速する戦略には合理性があり、将来へのポテンシャルも高いと評価できる。


3. 沿革
同社は2005年、インターネットを活用したマーケティング支援を目的として、現 代表取締役社長CEOの中村壮秀(なかむらまさひで)氏によって設立された。
中村氏は、住友商事 (T:8053)を退職後、インターネットビジネスの可能性を信じて、ゴルフダイジェスト・オンライン (T:3319)の創業に参画し、東証マザーズ上場に貢献した。
そこでクチコミの重要性を実感するとともに、社会的意義や市場の大きさを確信したことが、人と企業のエンゲージメントの創出を使命とする同社を設立した経緯となる。


2006年に、ホームページ制作事業の立ち上げと各分野のエキスパートによるクチコミサイトをスタートさせた。
当初はプロやブロガー等のセミプロ向けのコミュニティサイトを運営していたが、2008年に一般ユーザーを対象としたファンサイトモールをスタートさせ、現在の事業モデルが立ち上がった。


事業拡大の転機となったのは、2011年からFacebook向けにサービスを開始したことである。
これが会員ユーザーの獲得に拍車をかけ、同社の成長を支えてきた。
その後もTwitter(2012年)やInstagram及びLINE(両社ともに2015年)との連携も開始している。


なお、2013年11月に東証マザーズに上場しており、2014年3月にはシンガポールに子会社を設立し、SNS広告クリエイティブ制作事業を立ち上げた(現在は広告クリエイティブ・プラットフォーム「Craft」の運営を行う)。
また、2016年4月には中国最大規模のSNS「Weibo」の公式マーケティング会社IMSと提携し、「Weibo」の公認サービス「WEIQ」の日本における独占販売契約を締結すると、2020年7月にはラオックスとの事業提携により、中国最大級の小売企業である蘇寧グループの中国販売ネットワークを活用した「中国向け販売パッケージ」の提供を開始するなど、越境プロモーション事業(中国進出支援事業)の拡大に向けても足掛かりを築いている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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