アライドアーキ Research Memo(4):「SaaS事業」「ソリューション事業」が順調に拡大

Fisco

発行済 2022年01月06日 15:14

■決算概要

1. 2021年12月期第3四半期累計の業績
アライドアーキテクツ (T:6081)の2021年12月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比55.2%増の4,535百万円、営業利益が同4.4倍の575百万円、経常利益が同7.7倍の647百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同4.5倍の577百万円と、想定を上回る大幅な増収増益となった。
同社が重視する粗利売上についても同34.2%増の2,277百万円と順調に伸びている。
特にコロナ禍による影響についてはマーケティングDXへの流れを加速するうえで追い風となっており、今後も良好な事業環境が続く見通しである。


粗利売上は、「SaaS事業」「海外SaaS事業」「ソリューション事業」「中国進出支援事業」の全事業で伸長した。
コロナ禍をきっかけとしたマーケティングDXの需要拡大等により、「SaaS事業」及び「ソリューション事業」が想定を上回るペースで拡大している。
また「海外SaaS事業」については、ゲーム会社からの3D動画制作ニーズの取り込みが着実に成果を出し、売上高が力強く成長し始めている。
一方、「中国進出支援事業」はコロナ禍の影響によりインバウンド需要が低迷しているものの、越境EC需要でカバーし堅調に推移した。


損益面でも、顧客獲得・維持コストや将来に向けた開発コストが若干増加したものの、増収に伴う収益の底上げや管理コストの削減により大幅な営業増益を実現し、営業利益率は12.7%(前年同期は4.5%)に大きく改善した。
これまで先行費用のフェーズにあった「海外SaaS事業」についても黒字体質が定着し、着実に利益が積み上がっている。
また、円安による為替差益(29百万円)の発生や投資有価証券売却益(173百万円)の計上なども親会社株主に帰属する四半期純利益のプラス要因となった。


財政状態については、「現金及び預金」の増加などにより総資産は前期末比12.5%増の3,599百万円に増加した。
一方、大幅な増益に伴う内部留保の積み増しにより、自己資本も同31.9%増の2,287百万円に大きく拡大したことから、自己資本比率は63.6%(前期末は54.2%)に改善した。


各事業における実績は以下のとおりである。


(1) SaaS事業
粗利売上は前年同期比18.8%増の904百万円となった。
コロナ禍の下、EC化加速等に伴うマーケティングDXの需要が拡大するなかで、「LetroStudio」(動画制作)、「Letro」(UGC活用によるEC強化)、「echoes」(デジタル販促)の3つの主力サービスが大きく伸びている。
顧客企業数は727社とほぼ横ばいながら、その内訳を見ると単価の高い主力サービスへのシフトが顕著である。
特に、月額課金型の「LetroStudio」及び「Letro」の伸びが収益の底上げに大きく寄与したほか、複数ツールの利用によりさらに高い効果を発揮する事例※も増えており、顧客単価の向上が業績の伸びをけん引していると言える。


※「LetroStudio」で作成した動画を「echoes」によるキャンペーンページに活用するとか、創業来サービスである「モニプラ」(ファンブログ)で生成したUGCを「Letro」により自動抽出し、顧客のHPに掲載するなど、組み合わせによりさらに効果を高める事例が増えてきた。



(2) 海外SaaS事業
粗利売上は前年同期比45.7%増の465百万円となった。
引き続き欧米をターゲットとするゲーム会社から高単価の3D動画制作の受注が拡大しており、業績の伸びをけん引している。
また、スポット取引から月額課金の継続取引への転換が安定的な収益の積み上げに貢献し、黒字体質が定着してきた。


(3) ソリューション事業
粗利売上は前年同期比56.6%増の770百万円となった。
コロナ禍で加速した消費者志向の変化に対応する「ファン×SNSマーケティング」のニーズが向上し、想定を上回るペースで順調に拡大した。
第1四半期については一時的要因も大きかったものの、第2四半期以降も順調に需要が積み上がっており、外部環境が追い風となっているなかで、この傾向は今後も継続するものと見られる。
活動面でも、デジタル人材のシェアリングを行うネクストバッターズサークルを2021年4月に設立したほか、ファンベースカンパニーとの連携により、ファン創出やファンとの関係強化に向けた新サービスを共同開発するなど、新たなマーケティングニーズに対する支援体制の充実にも取り組んだ(詳細は後述)。


(4) 中国進出支援事業
粗利売上は前年同期比10.7%増の136百万円となった。
コロナ禍の下、海外からの人の往来が制限されていることから、インバウンド支援の需要が縮小する一方、越境EC進出支援の需要拡大を取り込み、事業全体では堅調に推移した。
特に中国SNSアカウント運用(Weibo、Wechat等)とインフルエンサー(Vstar Japan提携インフルエンサー、在日中国人コミュニティ「BoJapan」との連携)による拡散を合わせたビジネスモデルを強化したことにより、安定的に収益を確保することができた。


2. 四半期業績推移
四半期業績の推移を見ると、マーケティングDXへの流れが加速するなかで、季節要因(年度末の予算消化)や一時的な増加要因(ソリューション事業における大型キャンペーン)なども相まって第1四半期の粗利売上は大きく拡大し、過去最高(四半期ベース)を更新した。
さらに、季節要因や一時的要因が剥落した第2四半期においても、高い業績水準を維持しており、実態としては業績の伸びが継続しているとの見方ができる。
また、連結営業利益についても粗利売上とおよそ連動する形で大きく底上げされている。
これまで先行投資フェーズにあった海外子会社Credits(海外SaaS事業)についても、2020年12月期第4四半期に営業黒字化を実現すると、着実に利益が積み上がってきた。


3. 2021年12月第3四半期累計の総括
2021年12月期第3四半期累計を総括すると、想定を上回る業績の伸びを実現したところはもちろん、活動面でも、新サービスの開発や既存サービスの機能強化、デジタル人材の拡充など、今後の事業拡大に向けた基盤強化に取り組み、一定の成果を残したところは高く評価できる。
また、コロナ禍をきっかけとしたマーケティングDXの需要拡大は一過性の特需ではなく、趨勢的な構造変化のスピードが早まったものと捉えるべきであり、他社に先駆けて実績やノウハウを積み上げてきた同社にとっては、本格的な成長フェーズに入る転機となる可能性があると言える。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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