日経平均は4日ぶりに大幅反発、グロース底打ち感や安川電機の上昇でセンチメント改善

Fisco

発行済 2022年01月12日 12:08

 日経平均は4日ぶりに大幅反発。
525.73円高の28748.21円(出来高概算6億0247万株)で前場の取引を終えている。


 11日の米株式市場でNYダウは183.15ドル高(+0.50%)と5日ぶりに反発。
再任指名に伴う公聴会での連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の証言は一段と金融引き締め懸念を強めるものではなかったことから警戒感が後退。
金利が低下に転じたことでハイテク株を中心に買戻しに弾みがつき、軟調に推移していた主要株式指数は上昇に転じた。
ナスダック総合指数は+1.40%、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+1.84%となった。
こうした流れを引き継いで日経平均は227.05円高でスタート。
朝方の買い一巡後はもみ合いが続いていたが、アジア市況の上昇が追い風となり、前場中頃からは再び騰勢を強めると上げ幅を500円超に広げた。


 個別では、レーザーテック (T:6920)、東エレク (T:8035)、SUMCO (T:3436)などの半導体関連のほか、ソフトバンクG (T:9984)、村田製 (T:6981)などのハイテク株が大幅高。
直近下落が目立っていたキーエンス (T:6861)、ベイカレント (T:6532)、SHIFT (T:3697)などのグロース
(成長)株の一角も大幅に反発。
ソニーG (T:6758)、リクルートHD (T:6098)、ファーストリテ (T:9983)、日本電産 (T:6594)なども堅調で、川崎汽船 (T:9107)やINPEX (T:1605)などの市況関連の急伸ぶりも目立つ。
9-11月期業績は市場予想を下振れ、通期計画も据え置かれた安川電機 (T:6506)は売りが先行したものの、受注の好調も評価され切り返して反発。

好決算が評価された技研製作所 (T:6289)が大幅高で、業績予想を上方修正したタマホーム (T:1419)は東証1部の上昇率上位に躍り出た。


 一方、米長期金利の上昇一服から三井住友 (T:8316)や東京海上 (T:8766)が軟調で、第一生命HD (T:8750)が大きく下落。
直近上昇が続いていたデンソー (T:6902)が利益確定売りに押され、エーザイ (T:4523)やKDDI (T:9433)などのディフェンシブ銘柄でも冴えないものが散見される。
今期業績見通しが市場予想を下回ったキユーピー (T:2809)は大幅安となり、9-11月期業績が失望感を誘った東京個別 (T:4745)やわらべやHD (T:2918)が急落し、業績予想を下方修正したブイキューブ (T:3681)と共に東証1部の下落率上位に並んだ。


 セクターでは鉱業、金属製品、海運業を筆頭にほぼ全面高となっており、保険業、電気・ガス業、銀行業の3業種のみが下落している。
東証1部の値上がり銘柄は全体の87%、対して値下がり銘柄は10%となっている。


 日経平均は大幅反発。
朝方の買い一巡後は心理的な節目の28500円近辺で伸び悩む場面も見られたが、前場中頃から騰勢を強めると同水準を大きく超え、25日移動平均線を回復してきた。
直近の下落がきつかったことを踏まえれば、驚くほどの上昇ではないものの、米12月消費者物価指数(CPI)の発表を控えるなか、戻り待ちの売りから失速することなく、前引けにかけてもう一段の上昇を見せてきたことは強い動きと言える。


 10日に一時1.8%を超え、およそ2年ぶりの高値をつけた米10年国債利回りは、11日、1.74%まで低下し、上昇一服感が強まった。
10日に一時2%を超える下落率で推移していたナスダックは金利上昇の一服により急速に買い戻され、同日は結局小幅高に転じ、金利低下が鮮明となった11日は大幅に上昇した。
下落基調が目立っていたマザーズ指数も、前日は日経平均や東証株価指数(TOPIX)が下落していたなか小幅ながら上昇で終え、本日は大幅に続伸している。
金利上昇の一服とともに日米ともにハイテク・グロースに目先の底打ち感が出てきたことはポジティブに捉えたい。


 製造業決算の前哨戦とも位置付けられる安川電機が良好な受注動向を映して大幅高に転じてたことも投資家心理を明るくさせる。
米国でも今週末から大手金融企業を皮切りに決算発表が始まる。
外部環境が落ち着いてきたタイミングで決算シーズンに突入し、日米ともに良好な企業決算が相次げば、相場のムードも再び明るくなりそうだ。


 一方、今晩には米12月CPIの発表が予定されており、市場予想では前年比の伸びが+7.0%と、11月の+6.8%を更に上回る見込みだ。
さらに、25~26日は今年最初の米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えている。
そのため、まだまだ楽観視できる状況でもないだろう。
しかし、それでもCPIの伸びは事前に警戒されていることから、多少上回る程度であれば、波乱なく通過しそうだ。
また、FOMCも、昨年12月開催分のFOMC議事録の公表以降、FRBの複数の高官から相次いで3月時点での利上げや速やかなバランスシート縮小に賛同する言動が確認されていることから、こちらも相当程度に織り込みが進んでいると考えられる。
3月FOMCが近づくタイミングでは再び、金利動向を含め市場が神経質になる展開が予想されるが、目先は戻りを試す局面となることに期待したい。


 さて、香港ハンセン指数が大幅高となるなか、米ハイテク株の底打ち感への期待もあり、後場の日経平均は引き続き強い動きが継続しそうだ。
後場も失速することなく、高値圏での推移を維持できれば、明日以降の戻りや29000円回復にも期待が持てそうだ。

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