SPAC制度、導入は可能だが日本独自のルール必要=東証社長

Reuters

発行済 2022年01月20日 17:46

[東京 20日 ロイター] - 東京証券取引所の山道裕己社長はロイターとのインタビューで、米国などで注目を集めている特別買収目的会社(SPAC)の上場制度は日本でも導入が可能との見方を示した。ただ、米国での制度をそのまま採用するのではなく、日本の市場や投資家の特性にあった独自のルール作りが必要だと語った。

SPACとは未公開会社の買収を目的として設立される会社のことで、上場時に事業の実体を持たないことから「空箱」とも呼ばれている。調査会社のSPACリサーチによると、米国では2021年に613社のSPACが上場を果たした。ただ、足元では当局による規制強化などにより、過熱感は薄らいでいる。

日本国内ではSPAC上場は認められていないものの、岸田文雄首相が設置した「新しい資本主義実現会議」では、スタートアップの創出と成長・発展の観点から、制度の検討が11月の緊急提言に盛り込まれた。

山道社長は、経営が安定していく段階のレートステージのベンチャーに対する資金調達手段について、従来の新規公開株式(IPO)だけでなく「ベンチャーファンドやSPACなど、いろいろな道が出てきた方が利便性が上がる」との見方を示し、「SPAC制度そのもの(の導入)はできるのではないか」と述べた。

一方、マレーシアなどではSPAC制度がすでに導入されているが、「米国のような重層的なリスクテイカーがいない」ため、制度を活用しきれていないと指摘。日本も例外ではなく、「(導入されても)案件が出てくるかどうかは未知数」と語った。