セグエ Research Memo(3):自社開発、VAD、システムインテグレーションの3事業を展開(1)

Fisco

発行済 2022年02月04日 15:13

■事業概要

1. 同社のグループ
セグエグループ (T:3968)は純粋持株会社で、セキュリティ製品及びITインフラ製品の輸入・販売などを行う中核子会社のジェイズ・コミュニケーションに加えて、ITシステム(主に音声系)の構築サービスなどを行うジェイズ・テレコムシステム(株)、エンジニア派遣サービスを提供するジェイシーテクノロジー(株)、セキュリティ製品及びITインフラ製品の販売に加え運用サービスなどを行うジェイズ・ソリューション(株)の4社を有する。
なお、セキュリティソフトウェアの開発・販売を行うファルコンシステムコンサルティング(株)及びネットワーク機器及びOA機器の販売・保守などを行う(株)アステムについては、2022年1月に中核子会社のジェイズ・コミュニケーションと合併し、アステムの100%子会社であったサイバートップ(株)はジェイズ・コミュニケーションの子会社となった。


2. グループの事業内容
同社の事業内容は、自社開発ビジネス、VADビジネス、システムインテグレーションビジネスの3つに区分される。
いずれのビジネスも技術を基盤としている。
自社開発ビジネスでは、セキュリティソフトウェアライセンスの販売やサポートサービス・ヘルプデスクを行っている。
VADビジネスでは、代理店として海外・国内のセキュリティ・ITインフラ製品やソフトウェアライセンスをメーカーと連携して販売するほか、サポートサービス・ヘルプデスクやオンサイト保守サービスを行う。
システムインテグレーションビジネスでは、顧客のニーズに応じてITインフラ・セキュリティ等の設計構築、導入サービスなどを提供する。
さらに3つの事業すべてにおいて、プロフェッショナルサービスとして設計や構築、SE(システムエンジニア)サービスとして請負や派遣、マネージドサービスとして監視や管理等運用などの技術サービスを柔軟に行う。
顧客の要望に応じて販売パートナー(システムインテグレータ、コンピュータメーカー、電気通信事業者等)に様々な付加価値を提供するほか、一部でエンドユーザーへの直接ソリューション提供も行うことが、同社の強みと言えるだろう。


2021年12月期第3四半期の売上高構成比は、システムインテグレーションが54.4%(2020年12月期比7.8pt増)、VADが41.2%(同7.1pt減)、自社開発が4.4%(同0.7pt減)であった。
なお、売上構成比はまだ低いものの、今後のグループ成長の原動力とするべく、自社開発ビジネスにもっとも注力している。


(1) 自社開発ビジネス
これまで培った技術を駆使して顧客の安全を支えるセキュリティソフトウェアを開発・提供するビジネスで、中核子会社のジェイズ・コミュニケーションで自社開発セキュリティソフトウェアのRevoWorksシリーズを提供している。
具体的には、インターネット分離ソリューションのサーバ型仮想ブラウザ「RevoWorks SCVX」、インターネット分離ソリューションのローカル仮想ブラウザ「RevoWorks Browser」、セキュアテレワークソリューションのローカル仮想デスクトップ「RevoWorks Desktop」のほか、認証&テレワークソリューション「WisePoint Authenticator」、認証&シングルサインオンソリューション「WisePoint Shibboleth」などがある。
RevoWorksの累計ユーザ数は増加傾向が続いており、2020年12月期には26万を突破した。


a) RevoWorks SCVX
主力の「RevoWorks SCVX」は、医療機関、教育機関、金融機関、官公庁、中堅・中小企業などを主要顧客としている。
なお、2016年1月より自社開発製品SCVX※の販売を開始してきたが、2020年8月よりSCVXを含む自社開発製品を、ユーザに分かりやすいRevoWorksブランドに統合している。


※Secure Container Virtual Extensionsの略。
仮想ブラウザ(リモートブラウザとも言う)。
コンピュータウイルス侵入を防ぐために、インターネットと業務端末をネットワーク分離するインターネット分離ソリューションのこと。



近年、官公庁や民間企業では、インターネットを通じて想定していない未知の攻撃を受けており、インターネットセキュリティは「いたちごっこ」の状態にある。
これに対し「RevoWorks SCVX」は、従来の「侵入されない防御」ではなく、「侵入される前提の防御」を目指すものである。
すなわち、「RevoWorks SCVX」により業務端末をインターネットから分離することで、1) 外部から攻撃を受けたとしても、その影響は仮想コンテナのみにとどまり、自身のPCは無傷で、2) 自身のPCの「RevoWorks SCVX」ブラウザを落とすと、仮想コンテナもマルウェアごと消滅する。
このように「RevoWorks SCVX」のセキュリティ対策は、極めて安全性の高い対策として、自治体だけでなく教育委員会、製造業、医療機関等へ販売を拡大している。
また、取り扱いパートナーも増加しており、「RevoWorks SCVX」が今後のグループ業績をけん引する原動力になると期待される。


「RevoWorks SCVX」の導入事例としては、東京都大田区(2019年10月)、焼津市立総合病院(2020年7月)、(一財)住友病院(2020年7月)、国家公務員共済組合連合会 虎の門病院(2020年8月)、ちばぎんコンピューターサービス(株)(2020年7月)、東京かつしか赤十字母子医療センター(2021年10月)などが挙げられる。


b) RevoWorks Browser
「RevoWorks Browser」はテレワークやリモートワークのセキュリティにフォーカスしたクラウドサービス対応のクライアント型インターネット分離ソリューションで、2019年10月にリリースされた。
同社独自コンテナ技術を用いたローカルコンテナ機能により、ユーザの利便性が高い。
「RevoWorks SCVX」はサーバ型のコンテナ技術を利用しているが、「RevoWorks Browser」はクライアントPC上でコンテナ(分離してほかと隔離した専用エリア)を生成し、論理的なセキュリティ強度を確保しながら、ローカルアプリケーション実効の柔軟性と高いユーザ利便性を併せ持つインターネット分離環境の構築を可能とする。
また、コンテナを実行するサーバが不要になることから、大規模構成やクラウドサービス提供時のコストパフォーマンスが大幅に向上する。
2021年9月にはGoogle Chrome、Microsoft Edgeをサポートし、Web会議システムの利用にも対応しているほか、セキュリティ向上も実現する新機能バージョンの提供も開始した。


c) RevoWorks Desktop
「RevoWorks Desktop」は働き方改革を支援するローカル仮想デスクトップで、2020年3月にリリースされた。
独自コンテナ技術により高いセキュリティと利便性を両立させ、安全簡単なテレワークを支援する自社開発のローカル仮想デスクトップだ。
日常業務で利用されるMS Office等のソフトウェアをクライアントPCに生成した専用環境(コンテナ)内で動作させることにより、作業中の情報流出を防止する。
さらに、秘密分散暗号化技術により専用環境内のデータを無意味化することで、PCが紛失や盗難にあっても情報は漏洩しないように、二重の安全策を講じている。


このようなRevoWorksの拡販に際しては、自治体情報セキュリティ対策の見直しも追い風になりそうだ。
総務省では、2020年12月に「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改定した。
これに伴い各自治体では、効率性と利便性を向上させた新たな対策が求められている。
そこで、RevoWorksは既存モデルと新たなモデル両方に対応しており、各自治体のニーズに応じた見直しの提案が可能となっている。
既に複数の案件を含み導入実績があり、さらなる拡大を目指している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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