セグエ Research Memo(7):ネットワークセキュリティの新たなリーディングカンパニーを目指す(1)

Fisco

発行済 2022年02月04日 15:17

更新済 2022年02月04日 15:30

■中長期の成長戦略

1. 市場環境
セグエグループ (T:3968)が属するセキュリティ市場環境では、高度情報化社会の進展とともに、さらなるセキュリティ需要の拡大が見込まれる。
一例を挙げると、サイバー攻撃増加に対応するために企業や組織におけるセキュリティ対策の継続は重要度を増している。
サイバー攻撃は、年々高度化・巧妙化が進むとともに新たなものも日々生み出されており、最近ではランサムウェアの急増やIoT※の進行に伴う攻撃対象の増加等が起きている。


※Internet of Things:モノのインターネットのこと。
従来は主にパソコンやサーバ、プリンタ等のIT関連機器が接続されていたインターネットに、それ以外の様々なモノを接続すること。



コロナ禍の影響を受け、デジタル化の進展は従来の想定以上に加速している。
特に企業のテレワーク環境の整備が急速に進んでいることから、今後もテレワーク環境を持続させるためのITインフラ整備、そしてその環境に適した効率的な業務体制の構築等が進むと予想される。
また、コロナ禍の影響を受けて急遽構築したテレワーク環境では、セキュリティ対策が後回しにされがちなため、これを狙ったサイバー攻撃が増加傾向であることから、マルウェア対策、不正アクセス対策、情報の暗号化などの早急な対策が必要である。


こうしたなか、政府によってサイバー被害の通知が義務化され、2020年6月には、一定の要件を満たす情報漏洩被害の個人への通知義務化を含む、改正個人情報保護法が公布され、同年7月に個人情報保護委員会は、サイバー攻撃による情報漏洩被害が発生した場合、被害者全員への通知を義務付けると発表した。
2022年4月の施行までに、より一層のセキュリティ対策が求められている状況だ。


また、政府はコロナ禍の影響を受け、GIGAスクール構想実現のためのITインフラ整備を前倒しで実施する。
2019年度からの3年間で合計4,800億円超を予算化することで、「1人1台端末」の実現や、家庭でもつながる通信環境の整備などを加速し、安心してICT(情報通信技術)を活用できるように「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に準拠したセキュリティ対策を推進する計画である。
このようなセキュリティ需要の拡大により、今後も同社にとっては有利な事業環境が続くと予想される。


セキュリティ需要の拡大に伴い、国内のセキュリティ(製品及びサービス)市場の年平均成長率は、従来の5.7%から今後は6.7%に上昇すると予想される。
また、これまで国内セキュリティ市場の成長率は世界市場の成長率を下回っていたが、今後は国内でもセキュリティ対策がより重要になることから、世界市場の成長率(年平均10.0%)に近づくと見られる。
こうした市場環境下、同社の売上高は、2012年12月期から2020年12月期まで年平均15%超で成長を続けているが、今後も自社製品の拡大、海外メーカーとの良好な関係による製品輸入の拡大、さらにコロナ禍の影響などを背景に、市場成長率を上回る成長を続けると弊社では見ている。


2. 長期ビジョンと新中期数値目標
こうした市場環境を踏まえて同社は、長期的な方向性としてネットワークセキュリティの新たなリーディングカンパニーを目指している。
すなわち、AIやIoTなどの新しいテクノロジー、ユニークな発想のメンバーを結集したセキュリティソリューションプロバイダービジネスを展開することで、顧客、パートナーから信頼され、自らが誇れる業界TOP企業を目指す。
また、経営戦略の基本方針として、企業価値向上を追求していく。
具体的には、既存事業分野の持続的成長、新規プロダクト、サービス、自社製品、自社サービスへの集中投資と拡大に加え、M&A戦略及び新たなビジネスモデル創出による爆発的成長を目指す。
ベースラインの持続的な成長に加えて、爆発的な成長を達成するために、M&A戦略や新規事業を積極化する方針である。


以上の市場環境認識や長期ビジョンに基づき、2020年2月に対外的には初めてとなる中期数値目標を発表した。
2022年12月期に売上高150億円、営業利益10億円、営業利益率6.7%を目指していたが、計画策定時には想定しなかったコロナ禍の影響を大きく受けており、目標達成は厳しい状況となっている。


3. プライム市場適合のための取り組み
同社は、2022年4月からの東証新市場区分において「プライム市場」を選択申請しているが、上場維持基準適合状況については流通株式時価総額の基準を満たしていない。
このため、2021年12月に上場維持基準の適合に向けた計画書を発表した。
基本方針として、流通株式時価総額基準の充足に向けて、事業成長を加速させて企業価値の向上に取り組み、時価総額の向上を図る。
また、併せて流通株式比率の向上にも取り組み、さらなる流通株式時価総額の向上を目指すこととした。
このほか、新たな中期目標数値として、2024年12月期に売上高170億円、営業利益12億円、親会社株主に帰属する当期純利益8億円、EPS69円を掲げ、基準の充足に向けて各種の取り組みを進める方針だ。
なおこの数値目標は、2021年12月期予想比で売上高1.4倍、営業利益2.1倍、親会社株主に帰属する当期純利益1.8倍となっており、意欲的な目標であると言える。


プライム市場の上場維持基準への適合に向けた具体的な取り組み施策としては、(1) 基盤となる技術者の大幅増員、(2) VADビジネスの伸長、自社開発ビジネスの拡大、システムインテグレーションの強化、(3) ストック型サービスビジネスの拡大、ビジネスの変革、資本・業務提携やM&A、(4) IR・資本政策、SDGsへの取り組み、などを計画している。
具体的な内容は以下のとおりである。


(1) 技術者の大幅増員
同社グループの人員は約7割が技術者であり、取り扱い商材の新規検討や品質確保、自社製品の開発、各種サービスの提供など、事業の基盤として欠かせない存在である。
そこで新たに採用チームを編成し、2024年12月期までに技術者採用数の倍増を目指す。


同社では人財投資として積極的な採用を継続しており、技術者の採用・育成を継続することはグループの成長に不可欠であると考えている。
ITエンジニアが客先を訪問し、技術的付加価値を付けてシステムを構築・提供できることが、同社の強みの1つであり、同社への信頼感を高めている。
国内ではITエンジニア不足が深刻だが、同社は技術レベルごとの独自採用ルートを活用することで人財を確保してきた。
加えて、自社開発ビジネスを強化するため、営業・マーケティング職を増員し、販売力を強化している。
また、成長に即した報酬体系の見直し、新卒から幹部候補までの研修の強化、インサイドセールス(相手先を訪問しない内勤型営業)の強化なども実施している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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