インテリックス Research Memo(2):リノベーション事業分野を主軸に、ソリューション事業分野へと展開

Fisco

発行済 2022年02月18日 15:22

■事業概要

1. 事業セグメントの内容
インテリックス (T:8940)は中古マンションを戸別に仕入れ、リノベーション(再生)した後に再販するリノベーション事業分野とソリューション事業分野を展開している。
従来は「中古マンション再生流通事業」と「その他不動産事業」で区分していたが、リースバック事業やアセットシェアリング事業等の不動産を活用したソリューション関連事業の拡大、及びリノベーション内装事業やホテル等の宿泊事業など不動産事業から派生したサービス事業の展開に伴い、2022年5月期から事業実態に則した事業区分に見直した。
主には従来、その他不動産事業に計上していたリノベーション内装事業をリノベーション事業分野に移管した格好となっている。
2022年5月期第2四半期累計の事業別構成比で見ると、リノベーション事業分野が売上高の79.7%、売上総利益の74.6%を占めている。


(1) リノベーション事業分野
リノベーション事業分野には、リノヴェックスマンション・戸建の再生販売・賃貸・仲介事業のほか、リノベーション内装事業、FLIE(不動産売買プラットフォーム)事業が含まれており、売上高の約95%をリノヴェックスマンション販売が占めている。


リノヴェックスマンション販売の事業の流れとしては、不動産仲介会社からの情報をもとに仕入れた物件に対し、子会社の(株)インテリックス空間設計で最適なリノベーションプランを作成、内装工事を施したうえで不動産仲介会社等を通じて販売する(直近は直接仕入販売も開始している)。
同社は物件を仕入れてから販売までの事業期間を経営管理指標として重視し、120日程度を目安として、これよりも期間が長くなるようであれば販売価格を調整して早期に売り切ることを基本方針としている。
販売在庫の滞留期間が長期化すれば、収益性が低下するリスクも上昇するためだ。
売上総利益率では12~13%を適正水準として事業運営を行っている。
また、内装工事に関してはインテリックス空間設計より協力会社に外注している。


販売エリアは首都圏からスタートし、2013年以降は地方主要都市(札幌、仙台、名古屋、京都、大阪、広島、福岡)に段階的に進出してきた。
首都圏では大手不動産販売会社を含めて参入企業が増加し競争が激化しているが、地方ではリノベーションマンションを手掛ける企業が少なかったこともあり着実に市場を開拓し、2022年5月期第2四半期累計における販売件数比率は58.7%となっている。
同社は、全国の分譲マンションのストック数が2020年時点で675.3万戸あり、うち首都圏で半分程度を占めていることから、首都圏と地方の販売比率は同等程度が適正水準と考えており、今後は首都圏でも後述する「ECOCUBE」の拡販によって巻き返しを図り、構成比率を5割程度の水準まで引き上げていく戦略だ。


リノベーションマンション内装事業は、リノベーションマンションを販売する同業他社のほか一般個人からの工事も請負っている。
戸別のマンション内装工事に関してはノウハウが必要なため、大手不動産販売会社を含めて同業他社からの引き合いは多く、同事業の売上の約7割が法人向けとなっている

(2) ソリューション事業分野
ソリューション事業分野には、その他の収益不動産(一棟、土地等)の開発・販売・賃貸・管理・仲介事業のほか、新築分譲マンションの開発・販売事業、リースバック事業、アセットシェアリング事業、ホテル等の宿泊事業が含まれる。


a) リースバック事業
リースバック事業とは、ユーザーから所有不動産を同社が買い取ると同時に、定期建物賃貸借契約(2年間)を新たに結び、そのまま賃貸(リース)するサービスで2017年5月期より開始した。
契約期間を迎えるとユーザーは再契約し居住を延長するか退出、もしくは当該不動産を買い戻す選択ができる契約となっている。
相続税資金や老後の資金、ローン返済資金などまとまった資金が必要となった際に、所有不動産を売却しても住み続けることが可能なことから、ここ数年で市場が拡大している。


売上高としては、物件取得の際の契約手数料や賃料収入のほか、物件を売却した際の販売収入が計上されることになる。
一方、費用面では物件取得時の取得税、登記費用のほか、減価償却費も計上するため、物件取得から一定期間は費用が先行するが、物件売却時には減価償却が進んでいるため利益率が高くなるビジネスモデルになっていることが特徴だ。
賃貸料(年利回りで6~7%)が定期的に入ってくるため、買取件数を拡大することでストック収益を積み上げ、売却時にフロー収益を獲得していくことになる。
なお、販売については、戸別で販売する場合と複数戸をまとめて不動産信託受益権としてファンドに売却するケースがある。


リースバック事業は2013年にAnd Doホールディングス (T:3457)が業界に先駆けて開始し、現在はファイナンス会社も含めて参入企業が増えているものの、同社では大手不動産会社(センチュリー21・ジャパン (T:8898)等)との連携も強化しながら仕入・販売ルートを広げ、事業を拡大していく戦略となっている。


b) アセットシェアリング事業
アセットシェアリング事業とは、不動産特定共同事業法(通称:不特法)のうち「任意組合型」の活用による不動産小口化商品の販売事業を指す。
同商品の特長として、新築・中古を問わず良質な不動産物件を、共同所有により1口100万円単位で取得可能なこと、共同所有することで空室・滞納リスクを分散でき、安定収益が期待できること、相続・贈与用資産として資産評価の大幅な圧縮が可能なこと、などが挙げられる。


不動産物件の管理については、主に子会社の(株)インテリックスプロパティで行っている。
グループ全体としては小口化販売によるフロー収益に加えて、任意組合の理事長フィーやプロパティマネジメントによるストック収益が得られることになる。
一方、投資家の期待収益率としては、分配予定利回り※で3%以上を目安に商品を組成していく方針となっている。


※賃料収入から実際に発生する経費(管理費等)を控除した年間収入÷投資額


同事業では青山財産ネットワークス (T:8929)やFPG (T:7148)など先行する事業者もあるが、同社は不動産業者としてこれまで構築してきたネットワークやノウハウを生かすことで、新築・中古物件、住宅用から商業用まで多様な商品を開発できることが強みとなる。
販売チャネルについてはセミナーの開催や自社Webサイト、税理士をはじめとした士業ルート、金融機関等の様々なチャネルを通じて販売している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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