米、ロシアの最恵国待遇撤回 各国と協調 ウォッカ・魚介類を禁輸

Reuters

発行済 2022年03月12日 01:14

更新済 2022年03月12日 16:18

[ワシントン 11日 ロイター] - バイデン米大統領は11日、主要7カ国(G7)と協調し、世界貿易機関(WTO)ルールに基づくロシアの「最恵国待遇」を撤回すると表明した。ロシアからのウォッカやキャビアなどの魚介類、ダイヤモンドの輸入を禁止する措置も示した。ウクライナ侵攻を受けたロシアへの制裁を強化する。

バイデン大統領は、集団的な対応がすでに世界的な制裁で重荷を負っているロシア経済に「新たな強烈な一打」になるとし、ロシアのプーチン大統領は「侵略者であり、代償を払うことになる」と言明した。

米政府が制裁対象とするロシアの新興財閥(オリガルヒ)を拡大するほか、ロシアとベラルーシへの高級品(高級時計や自動車、宝飾品など)の輸出を禁止する方針も表明した。

米財務省によると、ロシア第2位の銀行VTB取締役会を構成する10人や下院の12議員、ペスコフ大統領報道官の親族などが新たに制裁リストに追加された。

また、国務省はノビコムバンクの取締役会のメンバー4人と、ABRマネジメントとその取締役会メンバー4人を新たに制裁対象に含めると発表した。

イエレン財務長官は声明で「プーチン大統領による不当かつ挑発されることなく始めた戦争について、米財務省は引き続き当局者の責任を追求する」と表明した。

ホワイトハウスが発表した声明によると、バイデン大統領はロシアのエネルギー部門以外のセクターへの米投資を禁止する。また、G7は国際通貨基金(IMF)と世界銀行からロシアへの資金提供を阻止する構えという。

バイデン大統領は「これらはわれわれが講じる最新の措置であり、最後の措置ではない」と強調した。

最恵国待遇撤回によって、米国や同盟国はロシアからの幅広い輸入品に高関税を課すことが可能となり、すでに「深刻な景気後退」に向かっているロシア経済に一層の打撃を与えるのは必至だ。

米国ではロシアの最恵国待遇撤回に向け、ロシアの「恒久的正常貿易関係(PNTR)」を無効とする議会での手続きが必要となるが、上下両院の議員は与野党ともに支持を表明している

米通商代表部(USTR)によると、ロシアとの2019年のモノの総貿易額は約280億ドルで、貿易相手国の中で26番目の大きさだった。

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バイデン氏はまた、ウクライナへ積極的に米軍を駐留させたり、ロシアの猛攻からウクライナ国民を守るために「飛行禁止区域」を設けるといった意見には重ねて否定的な考えを示し、「攻撃のための装備品や飛行機、戦車などを米国のパイロットや乗組員とともに送り込むことは、すなわち第三次世界大戦と同じだということを、はっきりと認識する必要がある」と語った。

同時に、ロシアと国境を接する北大西洋条約機構(NATO)加盟国を含め、NATOの領土は1センチ残らず守るとも強調。「もちろん、われわれが反応すれば第三次世界大戦になるが、NATOの領土に対しては神聖な義務がある」とした。