ホットリンク Research Memo(1):2021年12月期の売上高は過去最高を記録

Fisco

発行済 2022年03月22日 15:41

■要約

ホットリンク (T:3680)はソーシャルメディアデータを活用したデジタルマーケティング支援サービスを主に展開するIT企業である。
主要子会社として、大手ソーシャルメディアのデータアクセス権販売を行う米Effyis, Inc.(エフィウス)や、中国市場をターゲットとしたWebプロモーション支援サービス、中国向け越境ECサービスなどを展開する(株)トレンドExpressがある。


1. 業績動向
2021年12月期の連結業績は売上高で前期比49.9%増の6,571百万円と過去最高を更新し、営業利益で355百万円(前期は25百万円の損失)、当期利益で808百万円(同51百万円の損失)と大幅な増収増益となった。
販管費は1,813百万円(前期比8.3%増)となった。
コスト削減に努め業務委託費や支払手数料が減少した一方で、業容拡大に伴い人件費が増加した。
コスト削減による販管費の効率化や売上高の拡大を背景に、販管費率は前期の38.2%から27.6%へと大幅に低下した。
先行投資を除いた平準なコストは削減傾向にあり、収益性は向上していると弊社は考える。
売上高と営業利益の両面において著しい改善が図られている。
2018年12月期第3四半期から2020年12月期第2四半期までは先行投資偏重ということで営業損益は損失計上が続いたものの、2020年12月期第3四半期からは継続して利益を計上している。


2. 今後の見通し
2022年12月期の業績見通しについては、売上高で前期比21.4%増の7,976百万円、営業利益で同54.8%減の161百万円、当期利益で同85.6%減の116百万円となっている。
中期目標の実現に向けた積極投資により、営業利益は前期を下回るが一過性のものである。
SNSマーケティング支援事業とクロスバウンド事業が急伸長しており、足元でも業績は好調である。
また、期中にブロックチェーン事業を本格的に開始、中長期的な成長に向けて積極的に投資を行っていく。
売上高予想は、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響を加味し保守的に設定していることから、業績予想の上方修正の発表や通期計画を上振れして着地する可能性は高いと弊社は予想する。


3. 中長期の成長戦略
現在SNSを活用したマーケティングの重要性は急速に高まりつつある。
マーケティングにおける3つのメディア領域である「オウンドメディア※1」「ペイドメディア※2」「アーンドメディア※3」において、その影響力の大きさからSNS上の口コミ(アーンドメディア)を活用したマーケティング手法が注目され始めている。
ただ、口コミは自社でコントロールが不可能であるため、いかに最適なユーザーに情報発信してもらい効果的に拡散していくことができるかで、費用対効果も変わってくる。
同社はこのSNS上の口コミにおける強みを武器に、上記3メディアの領域においてSNSを軸とした統合マーケティングサービスを提供する。
また、同社はビッグデータの「情報収集」「分析」「活用(マーケティング)」という3ステップにおいて、それぞれ売上が「積み上げ型」「単発型」に分かれるサービスを展開している。
これは顧客企業から見れば、情報収集からマーケティングに至るまでの一連の流れのなかで、フェーズごとに直面する課題を同社のサービスによって随時解決できるということになる。
その点で、同社のサービス全般はマーケティングにおける「1つのプラットフォーム」として顧客の事業基盤の一部となる。
「SNSを軸とした統合マーケティングサービス」「プラットフォームサービス」という特徴を生かすことで同社のマーケティング業界におけるプレゼンスは大きくなっており、従来アプローチが困難であった大手企業からの受注も今後徐々に増加してくると弊社は予想する。


※1 オウンドメディアとは、自社が所有・運営するメディアのこと。
デジタルマーケティングにおいては自社Webサイト・自社のSNSアカウントなどが挙げられる。

※2 ペイドメディアとは、広告費用を払って露出できる他社が所有するメディアのこと。
デジタルマーケティングにおいては、検索エンジン広告・SNS広告・ニュースサイトなどが挙げられる。

※3 アーンドメディアとは、自社でコントロールできない、消費者が発信するメディアのこと。
デジタルマーケティングにおいては、消費者のブログ・SNSなどが挙げられる。



■Key Points
・2021年12月期は過去最高の売上高を記録、大幅な増収増益
・2022年12月期の見通しは中期目標達成に向けて着実に収益を確保。
積極投資の継続により営業利益は前期比を下回るも、業況良好であり計画を上回る可能性大
・統合マーケティング及びプラットフォーム型サービスにより成長市場の競争で優位

(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)


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