エーバランス Research Memo(1):2024年6月期に売上高、営業利益、経常利益は2倍超と格段の成長を目指す

Fisco

発行済 2022年03月29日 16:01

更新済 2022年03月29日 16:15

■要約

Abalance (T:3856)グループは、ESG・SDGsを推進する再生可能エネルギーの総合カンパニーである。
主力の太陽光発電に関しては企画・開発から施工・販売・保守・売電まですべてを手掛け、2030年の保有発電容量1GWを目指している。
2020年11月にはベトナムの大手太陽電池パネルモジュールメーカーであるVietnam Sunergy Joint Stock Company(以下、VSUN)を特定子会社化し、大きく業容を拡大している。


VSUNの太陽光パネルの年間生産能力は2.6GWと世界ランキングに入るとしており、日系では最大メーカーとなっている。
主要販売地域は欧米だが、今後は南米のほか、ベトナム現地法人として関税減免の恩恵があるASEAN地域や日本での販売拡大も見据えて生産能力を2030年に8GWまで拡大していく計画で、連結業績をけん引していくものと期待される。
また、VSUNは2022年6月期中にベトナム「UPCoM店頭市場」への株式公開に向けて準備を進めているが、株式公開後も連結対象子会社を維持する方針だ。
なお、同社は2022年4月からの東京証券取引所の市場区分見直しにおいて、スタンダード市場でスタートするが、人材採用力の強化と企業価値の向上につながるプライム市場への移行を早期に目指す。


太陽光パネルの廃棄物処理問題が社会問題化するなか、2021年3月にリユース・リサイクル事業等を行うPV Repower(株)、同年6月には水素エネルギー貯蔵システムの開発を行うバーディフュエルセルズ(合)を設立するなど事業領域を拡大、海外も含めて今後拡大が見込まれる再生可能エネルギー市場において高成長を目指している。


また、同社は2022年2月に明治機械 (T:6334)の株式について公開買い付けを行い、上場を維持しつつ持分法適用関連会社とする方針だ。
明治機械は、製粉用設備機器の業界最大手で農業分野に幅広い顧客基盤を持っており、ソーラーシェアリングシステム(営農型太陽光発電システム)の販売強化、東南アジア全域を対象とした機械装置の販売拡大、光触媒活用による安全かつ衛生的な養豚・養鶏場の運営等で、両社がそれぞれメリットを享受できる戦略となっており、収益面でのシナジーが期待される。


1. 2022年6月期第2四半期累計業績の概要
2022年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比130.3%増の26,655百万円、営業利益で同37.0%減の532百万円、経常利益で同61.4%減の340百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同130.6%増の803百万円となった。
売上高は2016年6月期第2四半期から連結対象に加わったVSUNの売上が大きく伸長したことに加え、グリーンエネルギー事業も順調に拡大したことが増収要因となった。
営業利益については、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)で太陽光パネルの部材費や海上運賃費が高騰した影響から、VSUNの利益が一時的に落ち込んだことによる減益となった。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、過年度の工事請負契約に係る収受金10.2億円を特別利益として計上したことで増益となっている。
なお、太陽光パネル製造事業の部材費や海上運賃費については第2四半期にピークアウトしており、価格転嫁も順次進めていることからVSUNの収益は第1四半期を底に上向きに転じている。


2. 2022年6月期業績見通し
2022年6月期の連結業績は、売上高で前期比43.1%増の38,500百万円、営業利益で同2.9%増の1,400百万円、経常利益で同12.6%増の1,430百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同59.6%増の858百万円を見込む。
太陽光パネル製造事業の受注好調により、期初計画に対して売上高を3,500百万円上方修正したが、なお上振れ余地はあると見られる。
一方、営業利益は、コロナ禍等に伴って先行きのコスト高の懸念もあることから、期初計画を保守的に据え置いている。
グリーンエネルギー事業は第2四半期に実施した3件のM&A(太陽光発電所運営会社2社と太陽光発電事業の譲受)の寄与もあって、下期も順調に拡大する見通しとなっている。
自社保有発電所の売電収入やO&M※などのストック型収入は、前期比47.9%増の2,200百万円を見込んでいる。
また、コロナ禍により現地入りが困難となっていた東南アジア圏の再生可能エネルギー関連事業についても、再開していく予定となっている。


※O&M(オペレーション&メンテナンス):太陽光発電設備等の保守・管理サービス。
データ解析を含む日常的な発電状況の把握及び監視、並びに定期点検を通じた設備性能の維持、事故の早期発見、部品・機器の交換等を適時実施している。



3. 中期経営計画
同社は、2024年6月期までの3ヶ年中期経営計画を2021年10月に発表した。
同期間は2030年グループビジョン「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を目指すための助走期間と位置付け、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を成長エンジンに、グループの持続的成長と企業価値の最大化を図っていく方針だ。
業績目標としては2024年6月期に売上高590億円、営業利益36億円、経常利益31億円とそれぞれ2021年6月期から2倍超を目指す。


太陽光パネル製造事業では、2022年6月期第2四半期の実績が中期経営計画の次年度の業績を先取りする勢いが見られ、今後も欧米のほか南米・アジア圏を含めた再生エネルギーの需要拡大に対応すべく、VSUN生産能力を現状の2.6GWから3.6GWに増強する計画だ。
また、国内での自社保有発電所の発電能力も150MWと2021年6月期比で3倍を目指す。
自社開発だけでなく、大型のM&Aなども手掛けていくことで成長ペースを加速していく戦略だ。
中長期的な企業価値の向上のため、以下の重点施策を掲げる。


・多様な資金調達手段の確保(グリーンファイナンスの活用によるESGマネーの取り込み等)
・有力企業との戦略的なパートナーシップの形成・構築
・プライム市場への指定替え、VSUNの株式公開(UPCoM店頭市場)の実現とその後の本則市場(ハノイ市場またはホーチミン市場)への上場
・再生エネルギー分野を中心とした積極的なM&Aの実行
・機関投資家(海外含む)のポートフォリオ組入れを企図したIRの充実(株価の安定化と適正評価)
・ESGレーティング・スコアを意識した情報開示の拡充(TCFD※等)
・アナリストカバー獲得への取り組み
・自己資本比率の計画的な向上(財務健全化)

※TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)とは、「気候関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれ、投資家が適切な投資判断ができるよう、気候変動に関わる企業のガバナンスや戦略、リスク管理、指標と目標について開示することを推奨している。



■Key Points
・脱炭素化に向け国内外で太陽光発電の需要拡大が続く見通し
・2022年6月期第2四半期累計業績は主力2事業の伸長により大幅増収を達成
・2022年6月期業績は売上高でなお上振れ余地あり。
VSUNの部材費や海上運賃費は当第2四半期にピークアウトしており、収益は当第1四半期を底に上向きに転じる
・太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を成長エンジンに、2024年6月期に売上高590億円、営業利益36億円と格段の成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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