アクシージア Research Memo(6):販路・客層の拡大等を目的として、ユイット・ラボラトリーズを子会社化

Fisco

発行済 2022年04月07日 15:06

■成長戦略

1. トピック
アクシージア (T:4936)は2022年3月4日、同年4月1日付で千趣会からユイット・ラボラトリーズの全株式を取得し、子会社化することを発表した。
ユイット・ラボラトリーズは1977年創業の化粧品ブランドが前身であり、2016年にニッスイグループの1社として分社化した後、2017年に千趣会の完全子会社となった。
自社ブランドであるスキンケア基礎化粧品「リスブラン」をはじめとした化粧品・医薬部外品の製造・卸売事業や通信販売事業、豊富な生産実績をベースとしたOEM(受託製造)事業を展開している。
なお、直近の2021年12月期業績は、売上高で717百万円(前期は753百万円)、営業利益で11百万円(前期は30百万円)であった。


ユイット・ラボラトリーズの子会社化によって得られるシナジーとしては、(1) 資金の節約・稼働や人材確保等のリスクの縮減・稼働までの期間短縮、(2) 価格帯の異なる化粧品ブランド、(3) 外注費の削減、(4) スピード感のある製品開発、が挙げられる。


(1) 資金の節約・稼働や人材確保等のリスクの縮減・稼働までの期間の短縮
上場時に新工場建設のための設備投資を資金使途として掲げていたが、この資金をユイット・ラボラトリーズの株式取得資金に充当することにより工場建設・稼働までの時間を約1.5年短縮し、製造ノウハウの取得や人材の確保に関わる工場稼働までのリスクを縮減できる。
また、取得資金(860百万円)が上場時に計画していた工場設立資金(2,000百万円)を下回ることにより、新たな研究開発活動や人材採用等への投資機会を確保することが可能となる。


(2) 価格帯の異なる化粧品ブランド
ユイット・ラボラトリーズの主力ブランドは「リスブラン」である。
40年以上にわたり販売しているスキンケア基礎化粧品で、山梨県北杜市の八ヶ岳工場敷地内から直接汲み上げた八ヶ岳の天然水「女取水」を製品のベースとして使用している。
同社のBtoCブランドのラインナップが中・高価格帯(平均売価5,000円以上)であるのに対し、ユイット・ラボラトリーズの「リスブラン」は中・低価格帯(平均売価3,000円)のBtoCブランドであること、全国約1,000店舗の取扱店舗へ卸売販売していることから、販路及び客層の拡大が見込まれる。


(3) 外注費の削減
これまで同社製品はすべて委託製造であったが、ユイット・ラボラトリーズの子会社化により製造の一部を内製化することで、外部に流出していた製造委託費を内製化でき、コスト削減が見込める。


(4) スピード感のある製品開発
これまでの委託製造では発注ロットやリードタイムがボトルネックとなっていたが、ユイット・ラボラトリーズの子会社化により小ロット生産やリードタイム短縮が可能となるほか、小ロット・多品種の試作によりスピード感を持った製品上市が可能となる。


なお、業績寄与については2022年4月に子会社化を予定していることから、2022年7月期は売上高で150百万円程度、営業利益で3百万円程度を見込んでいる。
また2023年7月期以降は、同社からの一部製品を委託製造し工場の稼働率向上を図ることで、売上高を800百万円前後に引き上げるとともに、営業利益率の改善を目指す。


2. 成長戦略
同社は中国EC事業において、「トップダウンマーケティング」と「ボトムアップマーケティング」のそれぞれに属する複数の主要プラットフォームを使い分けながら、双方向マーケティングの相乗効果によって、広告宣伝費をコントロールして売上拡大に成功してきた。
「トップダウンマーケティング」では「Tmall」を主に活用し、有名女優などを起用した広告を掲載することで、ブランド醸成や認知度拡大を狙う。
なお、同社の取り組みが「Tmall」からも評価され、2020年には戦略的提携を締結している。
これにより、「Tmall」のビッグデータを活用したニーズの把握や販促施策が実施できるようになった。


一方、「ボトムアップマーケティング」では「Taobao」や「RED」といった口コミサイト・CtoCサイトにおいて、インフルエンサー・KOLのネットワークが構築されている。
「Taobao」では600人を超えるインフルエンサー・KOLまたは店舗とのネットワークがあり、各人各店舗が数万から100万人のエンドユーザーを抱えている。
早くからインフルエンサー・KOLの価値に着目し育ててきたことが現在の同社のブランド認知につながっていると言える。
さらに、2022年7月期第2四半期には「TikTok」及び「JD.com」に旗艦店を出店し、新たなプラットフォームの開拓を開始した。
「TikTok」は若年層中心に販売チャネルとしての存在感が増しており、口コミやブランド認知向上に加え、ライブ配信機能による販売も期待できる。
「JD.com」は家電製品のECを主体として成長してきたが、最近は化粧品やサプリメントの販売も増えていることから参入を決めた。
中国ECプラットフォームはアリババグループを中心に発展してきたが、直近は多様化が進行しており、チャネルの変化に機敏に対応した格好となり、2023年7月期以降のオムニチャネル展開の布石となるだろう。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)


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