エリアリンク Research Memo(3):ストレージ運用がコア事業

Fisco

発行済 2022年04月07日 15:13

■事業概要

1. 事業セグメント
エリアリンク (T:8914)の事業は、1) ストレージ運用とストレージ流動化の2つのサブセグメントから構成される「ストレージ事業」、2) 底地・不動産売買や底地賃料収入などの「土地権利整備事業」、3) レンタルオフィスやアセットマネジメントなどの「その他運用サービス事業」の3つの事業セグメントからなる。
なお、基幹事業であるストレージ事業をより前面に出すために、2020年12月期から報告セグメントを変更している。


2021年12月期のセグメント別内訳を見ると、売上高ではストレージ事業が75.2%(うちストレージ運用72.6%、ストレージ流動化2.6%)、土地権利整備事業が18.1%、その他運用サービス事業が6.7%である。
一方、営業利益(管理部門の経費控除前)では、ストレージ事業が80.6%(うちストレージ運用84.1%、ストレージ流動化は損失計上)、土地権利整備事業が10.4%、その他運用サービス事業が9.0%を占める。
これらは売上・利益面ともにストレージ事業、なかでもストレージ運用が同社の中核事業であることを示している。


2. ストレージ事業
同社はストレージ事業を中核に据えることで成長を遂げており、業績面でもストレージ事業の貢献度が圧倒的に大きい。
同事業では、ストレージや駐車場、レンタルオフィスなど様々なサービス業態を「ハロー」ブランドで展開している。
なお、ストレージ事業は「ストレージ運用」「ストレージ流動化」の2つのサブセグメントに分けて情報開示している。
ストレージ運用は、レンタル収納スペースの運営・募集・管理を行う事業であり、収入タイプは安定的なストック型収入である。
一方、ストレージ流動化は、投資商品としてストレージを受注・販売する事業であり、収入タイプは一時的なフロー型収入と言える。


ストレージ事業の主力ブランドである「ハローストレージ」は、家庭用及び企業用のトランクルームとして誕生した。
室内を大小のスペースで区画し、顧客の利用用途に適したサービスを提供できるよう、様々なサイズ・商品タイプを用意し、リーズナブルな価格で提供している。
また、安心して24時間利用できる。
なお、既述のとおり物件数は業界No.1を誇る。
具体的には、屋外型トランクルーム(コンテナ型)、屋内型トランクルーム(ビルイン型、一棟型)、バイクBOX 独立車庫型、ビジネスストレージ メゾネット型などの商品タイプがある。


屋外型トランクルームは同社の主力商品であり、北海道から九州まで全国展開し、海上運送用の丈夫なコンテナを利用した収納スペースだ。
コンテナ前まで車の乗り入れができ、24時間利用可能で、大容量収納が可能な大型サイズから小型物置サイズまで豊富などの特色がある。


また、屋内型トランクルームは首都圏中心に展開し、大手警備会社によるセキュリティ完備により安心安全・24時間利用可能、人気の中規模サイズが豊富などの特色がある。
一部を除き空調システムも導入されている。
コンテナの代わりに既存のビル(全部または一部のフロア)や倉庫などをトランクルームに改装してストレージ事業を展開するケースで、基本的な仕組みは屋外型コンテナタイプと同様だ。
一方、屋内型トランクルーム 一棟型は、トランクルーム専用に設計された建物型の屋内収納スペースで、「トランクハウス24」のブランド名で展開している。
無駄をなくしたスマート設計のコンパクトタイプを充実させ、環境になじんだ外観である。
トランクルーム専用建築、24時間利用可能、清潔感のある外装・内装、大手警備会社によるセキュリティを完備、部屋数が多くサイズが豊富などの特色があることに加え、空調設備、エレベーター、無料駐車場なども完備した次世代トランクルームである。


バイクBOX独立車庫型は契約者だけの独立したボックスタイプの専用駐車場で、防犯性を高めるために複数の鍵の取り付けが可能である。
収納をスムーズに行えるように幅広のラダーテールや収納棚も設置され、安全性、機能性、利便性を兼ね備えている。


ビジネスストレージ メゾネット型は、倉庫・事務所・住居・駐車場の機能を兼ね備えたストレージとして、2020年から展開している。


これら「ハローストレージ」の室数は年々順調に増加してきたが、2020年に出店活動を一時停止した影響で2021年の出店室数が減少するなどした結果、2021年12月期の総室数は前期末比101室減の97,784室となった(詳細は後述)。
一方で、2019年以降の出店精度向上により新規物件の稼働率が高まったことなどにより、稼働率は同5.2ポイント上昇の85.9%と上場来最高値を更新した。
加えて、コロナ禍に伴いリモートワークが増え、自宅のスペース確保の必要性が増えたことからも、収納ニーズが拡大しているようだ。


3. 土地権利整備事業
土地権利整備事業は、権利の複雑な底地の売買をとおして、地主・借地権者の問題を解決する事業である。
底地・不動産売買や底地からの賃料収入などがあり、収入タイプとしてはフロー収入がメインである。


土地権利整備事業の事業モデルは次のとおりだ。
土地を借りてその上に自分の建物を建てることは一般的に行われている。
この場合、建物の所有者は土地を利用する権利(借地権)を有しているが、土地利用の対価として地代を支払う義務もある。
一方、土地の所有者である地主は、借地権の制限があるため、その土地を自由に利用することができない。
このように、借地権が付いた土地を底地と言う。
土地所有者は土地の利用が制限されるものの、地代収入を得る権利を有することから、この土地を貸している権利を「底地権」と称する。


土地と建物の所有者が異なる状況は、権利関係のねじれが生じて複雑化するだけでなく、土地の価格にも影響を与えることから、通常は借地権の分だけディスカウントされる。
そこで同社は、地主から底地(権)を取得し、それを建物所有者に販売して収益をあげるとともに、権利関係を整備する事業を行っている。


4. その他運用サービス事業
その他運用サービス事業は、レンタルオフィスやアセットマネジメントなど賃料収入を基盤とする事業であり、収入タイプはストック型収入である。
レンタルオフィスは、「ハローオフィス」ブランドで東京23区に少人数用オフィスとして展開しており、コロナ禍によるリモートワークの増加に伴って需要が拡大している。
アセットマネジメントは、保有不動産の賃貸管理を行う事業であるが、市況が不安定なことに加え地価の下落リスク等も考慮して現状維持の方針である。
なお、貸会議室は「ハロー貸会議室」ブランドで時間貸し会議室スペースを大都市圏に展開してきたが、事業集中の観点から2020年12月をもって事業撤退した。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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