■要約
1. 大手流通小売グループ向け中心にPOS関連、CRM関連、MD関連を展開
ヴィンクス (T:3784)は、流通小売業のDX(Digital Transformation=デジタル・トランスフォーメーション)をリードするITサービス企業である。
流通小売業を熟知した高度な開発力・技術ノウハウ・サービス力をベースとして、大手流通小売グループ向け中心に、POS(Point Of Sale=販売時点情報管理)関連、CRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)関連、AI(Artificial Intelligence=人工知能)を活用したMD(Merchandising=商品政策)関連など、システム開発やソリューションサービスを展開している。
競合面では、流通小売業に熟知したうえでシステム開発や機器調達などに対応できる競合企業が少なく、メーカーに対する中立性で世界中のメーカーの機器を選定・提案できる優位性もある。
そして、日本を代表する大手流通小売グループ(その海外展開含む)と良好な関係を構築している。
2. 2021年12月期は計画を上回る増収・大幅増益で着地
2021年12月期の連結業績は、売上高が前期比7.7%増の29,867百万円、営業利益が同18.7%増の2,526百万円、経常利益が同21.1%増の2,537百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同32.2%増の1,616百万円となった。
計画(2021年11月10日付で上方修正)を上回る増収・大幅増益で着地した。
国内小売業におけるDXニーズの高まりで需要が高水準に推移し、既存顧客へのさらなる深耕、大型案件の増加、継続的な生産性向上や品質向上に向けた取り組みが功を奏し、オフショア開発の活用、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う経費の減少なども寄与した。
営業利益率は上昇基調である。
3. 2022年12月期は小幅の増収増益予想も上振れ余地
2022年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比3.8%増の31,000百万円、営業利益が同3.7%増の2,620百万円、経常利益が同3.7%増の2,630百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.3%増の1,670百万円としている。
小売業におけるDXニーズの高まりも背景として、中期計画の重点戦略で掲げた「既存ビジネスの高度化とニューリテール事業の具現化」を推進し、事業の持続的な成長を目指すとしている。
コロナ禍の影響など先行きに不透明感が強く、人件費、研究開発費、営業経費の増加なども考慮して小幅の増収増益にとどまる予想としているが、保守的な印象が強い。
DXニーズは高水準であり、大型案件の受注も好調に推移している。
弊社では会社予想に上振れ余地が大きいと考えている。
なお配当政策を見直して、2021年12月期に続いて2022年12月期も大幅増配予想としている。
4. 流通小売業のDXをリードして中長期的な成長ポテンシャルは大きい
中期計画では経営ビジョンに「アジアにおける流通ITのリーディングカンパニーを目指す」を掲げ、最終年度となる2024年12月期の経営目標値を売上高33,530百万円、営業利益2,840百万円、経常利益2,850百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,810百万円としている。
流通小売業においては、個人消費・購買行動の変化や労働力不足への対応などで、「ニューリテール」と呼ばれる新技術を活用した店舗運営を実現するために、DX投資が加速すると予想されている。
同社は流通小売業を熟知していることが強みであり、流通小売業のDXをリードするITサービス企業としてさらなる市場シェア拡大余地が大きい。
弊社では同社の中長期的な成長ポテンシャルは大きいと評価している。
■Key Points
・大手流通小売グループ向け中心にPOS関連、CRM関連、MD関連のシステム開発やソリューションサービスを展開
・2022年12月期は小幅の増収増益予想だが上振れ余地は大きい
・流通小売業のDXをリードして中長期的な成長ポテンシャルは大きい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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