ダイキアクシス Research Memo(5):スリランカ政府による排水環境改善推進に伴い、2022年に現地生産開始へ

Fisco

発行済 2022年04月14日 16:05

更新済 2022年04月14日 16:15

■事業概要

b) その他の国の主な動向
2022年6月にスリランカで組立工場が稼働を開始する予定だ。
スリランカ政府は、2017年に発表した開発方針“Vision 2025”や大統領管轄専門委員会が2019年に発表した“Vision 2030”の中で、「排水を高度に処理し生活環境を改善する。
排水に関連する衛生施設は同国の経済発展に重要なインフラである」と公言した。
現在のスリランカの排水処理の整備状況は、全国の下水道普及率が2.4%であり、整備が実施されているのはコロンボ市周辺のみに限定される。
利用されている浄化槽の96%は機能不全のセプティックタンク(腐敗槽)であり、国土の多くの地域で環境基準を大きく超える水質の悪化が起きている。
ダイキアクシス (TYO:4245)は2017年よりスリランカ現地代理店を通して浄化槽の販売活動を続けてきており、2021年5月にDAIKI AXIS ENVIRONMENT (PVT) LTDを設立した。
DAIKI AXIS ENVIRONMENTは、販売活動だけでなく浄化槽の製造(組立)にも従事する。


2019年10月には、ケニアの首都ナイロビに排水処理事業を手掛ける合弁会社DAIKI-USAFI LIMITEDを設立した。
同社グループの持分は51%、ケニアの水事業会社が49%を出資した。
ケニア国内において、排水処理事業をBOO※により展開する。


※BOO(Build Own Operate):民間が施設を建設・維持管理・運営し、契約期間終了後も民間が施設を所有し続ける、あるいは、施設を解体・撤去して事業を終了させる方式。



中国では、現地企業との合弁会社が小型浄化槽「XE型」の生産をしている。
しかし、中国規制厳格化により浄化槽普及が足踏み状態となっている。
さらに最近は、ローカル企業の類似品による価格攻勢を受けているが、同社は着実な事業展開を心掛ける意向だ。


(3) 上水事業
2007年より事業を開始した上水事業は、安全で安価な飲料水を安定的に提供するエスコサービスである。
供給する上水は地下水を飲料化したもので、従来の上水料金よりも10~30%のコスト削減になる。
利用方法は水道とまったく変わらず、使用量に応じて課金される。
エスコの上水設備は同社が所有する。
顧客先の設備の稼働状況は、ITセンサーを駆使することで、同社の本社から24時間365日モニタリングする遠隔自動監視システムを導入している。


エスコ事業の契約期間は10年の長期にわたる。
既存の顧客との契約が長期間にわたり継続して安定的な収益を生み、新規契約が収益を加算するストック(積み上げ)型のビジネスモデルとなる。
各現場とも、供給開始初年度から利益化する。
契約期間内の年間償却負担は一定だが、2年目より営業費用が不要になるため、営業利益率が大幅に改善する。
さらに償却期間が終了した10年目以降も契約が継続されれば、収益性は飛躍的に上がることになる。
2021年12月期末のエスコ導入件数は100件で、業態別内訳は、病院が30件、福祉施設が17件、食品加工工場が15件、大型商業施設が12件、スポーツジムが11件、学校法人が8件、ホテルが5件、温浴施設1件、その他1件となっている。


(4) 保守点検事業
安定的な収入源となるストックビジネスの強化を成長戦略としており、DCMグループ店舗の店舗浄化槽設備工事とメンテナンス、店舗管理業務(清掃・消防・電気等点検業務)を請け負っている。
全国規模の大手コンビニエンスストアチェーン、大手外食チェーンの店舗及びセントラルキッチンにおける排水処理設備・浄化槽メンテナンスの一括受注を拡大している。
従来の業者が個別サービス対応で地元特化型であるのに対し、同社はコスト削減だけでなく全国規模で均質の役務提供をすることで差別化を図る。
多数の店舗を運営する事業者(顧客)にとって、浄化槽の法定検査や点検記録、排水処理設備の点検記録などの管理は煩雑である。
DCMグループ店舗向けサービスにより積み上げた豊富なメニューが、顧客への利便性を高め、同社グループとっては1店舗当たりの売上高の拡大につながっている。


メンテナンス事業としてそれらの業務を請け負う同社は、新ITシステムの導入によりクライアントニーズに対応した法定点検の管理システムを更新した。
ITシステムを活用したメンテナンスに関する日報の集約・集計は、チェーン本部のガバナンスを高めるだけでなく事務作業の負担を軽減する。
ITシステムを競争優位性として、チェーン本部の攻略を進める。
また、データを基軸とした施設・施工・協力業者の管理により、生産性と収益性の向上を図る。



住宅機器関連事業は「安定」から「成長」への転化を図る
2. 住宅機器関連事業
住宅機器関連事業は、従来の「安定」から「成長」への転化を図る。
未開拓地域への営業強化によるエリア攻略、Eコマースによるリフォーム市場における事業機会の獲得や新たな商材の取り扱いを進め、集中購買制の採用による利益率の改善を図る。
2021年12月期の住宅機器関連事業の売上高内訳は、建設関連業者等が74.2%、ホームセンターリテール商材が12.3%、住機部門工事が13.5%であった。
新設したEコマースは、揺籃期のため0.1%にとどまる。
従来型の卸売は、商圏は近畿・中国・四国地域に限定されるが、Eコマースにより全国に広がっている。


(1) Eコマースサイト「deki×tano」
2022年1月にEコマースサイト「deki×tano」を開設した。
同サイトは、自宅の壁や棚、トイレのリフォームといった住宅設備のリフォームをプロに依頼、あるいは自分でDIYすることが可能となるサービスである。
サイトでは、表示がDIY商品と工事見積商品に分かれている。
DIY商品は自分で設置工事を行うことが可能な商品であり、工事見積商品は設置工事が必要で同社に工事依頼可能な商品となる。
自分でリフォームするときは、注文前にスマートフォンアプリの「LINE」上で友達追加の操作を行ったうえで希望するDIY商品と設置場所の写真をLINEで送ると、選んだ商品が設置可能かどうかの回答が得られる。
DIY商品の取り付けを自分で行えなかった場合は、同社サポートがアフターフォローする。
または、途中からプロに依頼することも可能としている。


(2) 特殊商材(環境配慮型商材)
同社は、差別化商品となる環境配慮型特殊商材に注力している。
木構造体KES工法(接合金物工法)は、地域のゼネコン・工務店が施工することができる工法で、同社は同工法を用いて建設地域の木材を使用した中・大規模木造体を提供している。
耐震性に優れており、全国の木造公共施設、幼稚園の建物にも採用されている。
木製水槽は、地元の木材を使って製造する木製水槽である。
断熱・保温性能が高く、意匠性、メンテナンス性にも優れ、60年以上の耐久性がある。
環境パイル工法は、間伐材を活用した木製杭を地盤補強材として使用する地盤改良工法で、セメントや鉄を用いた地盤改良に比べ環境負荷が低いうえ、間伐材の有効利用にも貢献できる。
除湿型放射冷暖房システムは、機械的な風を起こさない体に優しい冷暖房を実現する。
ラジエータの中で冷水・温水を循環させることで、放射と自然対流による自然な温度変化で安定した涼しさ・暖かさを作ることができる。
既に体育館での設置例がある。
解体後は、再生紙やウッドチップとして再利用が可能だ。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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