アウトソシング Research Memo(1):2021年12月期は大幅な増収及び営業増益により、過去最高業績を更新

Fisco

発行済 2022年04月18日 15:11

■要約

アウトソーシング (TYO:2427)は、メーカーの製造ライン向けに人材派遣及び業務請負を行う「国内製造系アウトソーシング事業」や、メーカーの研究開発部門及びIT、建築系企業向けに技術者派遣等を行う「国内技術系アウトソーシング事業」を展開するほか、米軍施設向け事業や海外展開にも積極的に取り組んでいる。
M&Aをはじめ、独自スキームの構築による人材獲得に優位性を有しており、海外を含めた人材提供数及び管理人数は13.4万名を超える(技術・製造系では国内業界最大)。
景気変動の影響を受けない事業構造への転換や今後の環境変化等を見据え、拡大するエンジニアニーズへの対応や公共関連サービスの強化、米軍施設向け事業の拡充など、グローバル規模で事業を拡大してきた。
今後は、派遣DX化を含めた環境変化を踏まえ、ビジネスモデルの抜本的な変革及び新たなビジネス機会の獲得にも取り組む方針である。
2021年2月15日には国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」に賛同し、「SDGs宣言」を行った。
世界の様々な人々の「就業機会」と「教育機会」の創造、さらには技術と教育の力で一人一人の生産性を向上させることで、人々の暮らしを豊かにすることに貢献し、同社グループの成長にもつなげていく考えである。


ただ、2021年11月に連結子会社における不適切な会計処理が発覚し、過年度業績の修正、並びに計画していた(株)アウトソーシングテクノロジーの上場申請を一旦取り下げる状況となった。
過年度分を含めて業績への金額面での影響は軽微なものであるが、同社では事態を厳粛に受け止め、再発防止策を徹底するとともに、ガバナンス・内部統制の抜本的な強化にも取り組んでいる。


2021年12月期の業績(IFRS)は、売上収益が前期比55.9%増の569,325百万円、営業利益が同82.1%増の24,186百万円と、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が継続するなかでも大幅な増収及び営業増益を実現し、過去最高業績を更新することができた。
特に、国内事業が半導体不足やサプライチェーンの混乱等による生産調整、コロナ禍に伴う入国規制などの影響を一部受けたものの、新たな需要の取り込みや派遣DX化を見据えた差別化提案などにより堅調に推移したほか、海外事業についても、2021年1月にグループ入りしたCPL Resources plc(以下、CPL)による寄与(シナジー創出を含む)や好調なeコマース関連事業の拡大などにより、計画を上回るペースで大きく拡大した。
利益面でも、コロナ禍の影響に加え、旺盛な人材ニーズに応えるための募集費の前倒し投下などマイナス要因が重なったものの、すべての事業で増益を確保することができた。
したがって、コロナ禍の影響を受けた一部事業の下振れを好調分野でカバーすることにより、グループ全体として高い成長性を維持しているところは特筆すべきポイントと言える。


2022年12月期の業績予想(IFRS)について同社は、売上収益を前期比22.1%増の695,000百万円、営業利益を同32.3%増の32,000百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。
旺盛な人材ニーズを背景として、コロナ禍からの復調や好調分野のさらなる拡大により、売上収益、営業利益ともにすべての事業が伸長する見通しである。


同社は2020年12月期より、5ヶ年の中期経営計画「VISION2024」を推進している。
コロナ禍に伴う入国制限により外国人関連ビジネスに遅れが生じているものの、2023年12月以降の回復を見込んでおり、現時点で計数目標や今後の方向性に見直しはない。
すなわち、世界各国で急速に進行する環境変化への迅速な対応を図るとともに、新たに発生したビジネス機会を同社の成長に取り込む戦略となっている。
特に、1)海外就労者サポートサービスの拡大、2)エンジニアとテクノロジーを融合したモデル「派遣2.0」による効率化・省人化、3)業績の平準化につながる米軍施設向け事業や政府公共系ビジネスのさらなる拡大、4)世界で増える人口をチャンスに変えるためのグローバル人材流動ネットワークの確立、5)人材ストックビジネスからの脱却を目指したWBB(“WORKING” Beyond Borders)プラットフォームの構築に取り組み、最終年度となる2024年12月期の売上収益8,200億円(5年間の平均成長率17.8%)、営業利益650億円(同36.3%※)を目指している。


※19/12期に17/12期~18/12期の過年度修正を一括計上しており、この修正を反映したうえで算出。



■Key Points
・2021年12月期は様々なマイナス要因が重なったものの、大幅な増収及び営業増益(過去最高業績)を実現
・連結子会社の不適切会計処理の発覚を受け、再発防止策の徹底とガバナンス・内部統制の強化を図る
・2022年12月期もコロナ禍からの復調や好調分野のさらなる拡大により増収増益を見込む
・5ヶ年の中期経営計画「VISION2024」を推進。
派遣DX化を含めた環境変化を踏まえ、ビジネスモデルの抜本的な変革に取り組む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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