日本電産、永守会長がCEO復帰 株安で危機感

Reuters

発行済 2022年04月21日 15:33

更新済 2022年04月21日 20:19

[東京 21日 ロイター] - 日本電産は21日、永守重信会長が同日付で最高経営責任者(CEO)に復帰すると発表した。会見した永守氏は現在の株価水準に強い不満を示し、経営判断の速度を上げて業績を成長軌道に戻すと説明した。

創業者の永守氏に請われて日産自動車から日本電産に転じた関潤社長は、就任から1年足らずでCEOの職から外れ、最高執行責任者(COO)となる。

永守会長は「世界の状況は逆風にあり、速い決断と対処が必要な段階に来ている。創業者ですべてを知り尽くしている私が短期的に指揮を振って、業績を改善する」と述べた。

復帰を決断する一因となったのが、1年半ぶり安値圏まで下落した株価。現在の水準は「残念」で「耐えられない」として「1万円(台)ぐらいで残っていれば私の出る幕はなかったが、ここまで下がるとなかなか」厳しいと考えたという。

関社長は、日本電産が注力している電気自動車(EV)のトラクションモーター事業にしばらく専念する。関社長は「正直悔しいが、向かい風を跳ね返す実力がなかった」とした上で、同事業の黒字化を「死ぬ気で速めてこいとのタスク(仕事)をもらったので、それに100%の闘志を燃やす」と語った。

日産の副COOだった関氏は2020年1月、社長含みで日本電産に入社。同年4月に社長兼COOに、21年6月に永守氏からCEOの職を引き継いだ。

日本電産は1973年に永守氏が創業。売上規模2兆円近い企業に育てたが、後継者探しが課題となってきた。2013年には日産の中核子会社カルソニックカンセイ(現マレリ)社長だった呉文精氏を副社長に据えたが、統括していた車載や家電事業で期待された実績を上げることができず15年に退社した。