SFP Research Memo(7):短・中期の新たな方向性として「ネオ大衆酒場」の拡大などにも注力

Fisco

発行済 2022年05月12日 15:17

更新済 2022年05月12日 15:30

■今後の方向性

1. 今後の方向性
SFPホールディングス (TYO:3198)は、毎年、向こう3ヶ年の中期経営計画を公表してきたが、2020年以降、コロナ禍の影響により先行き不透明な状況にあることから公表を見送っている。
ただ、今回は、ウィズコロナの定着やアフターコロナを見据え、短・中期的な方向性を明示した。
具体的な取り組みとして、(1) 地方都市への新規出店、(2) 注力業態「ネオ大衆酒場」の拡大、(3) 物価上昇への対応、(4) キャッシュレス・省人化を掲げている。


(1) 地方都市への新規出店
主力業態「磯丸水産」の展開は1都3県が中心となっているが、コロナ禍前から地方都市への進出を模索してきた。
これまでの実績を振り返ると、京都・大阪・兵庫(3エリア合計15店舗)に加え、仙台(1店舗)、長野(1店舗)、熊本(2店舗)への出店※に成功したほか、FC展開により、愛知(8店舗)、福岡(5店舗)をカバーしてきた。
同社では、未開拓の中核都市への出店機会に改めて目を向けており、中期的な成長ドライバーのひとつとして位置付けている。


※このうち、長野、熊本への出店は「アライアンス構想」によるもの


(2) 注力業態「ネオ大衆酒場」の拡大
コロナ禍をきっかけとした環境変化へ機動的に対応するため、これまでの主力業態の強みを生かしながら、低投資で安定的に稼げる「ネオ大衆酒場」業態に注力していく方針である。
「ネオ大衆酒場」は、1) 住宅/商店街、2) 路面、3) 小型、4) 17時から29時(翌朝5時)までの営業、5) 少人数/高回転などに特長を持つ業態(収益モデル)であり、現在は「鳥平ちゃん」「浜焼ドラゴン」「五の五」などのブランドを展開している。
「ネオ大衆酒場」のジャンルのなかでも複数の業態を有していることから、市場の立地や客層、競合他社の状況と照らし合わせて最もマッチングする業態を選んで出店することが可能となっており、この点が強みとなっている。
すなわち、主力業態における駅前・路面立地や24時間営業(利用シーンに応じた幅広い需要の取り込み)、高回転などの優位性を残しつつ、低投資で安定的に稼げる業態と定義することができる。
今後は、既存店の業態転換を含め、1都3県を中心に出店を増やす考えだ。


(3) 物価上昇への対応
外部環境要因として、原材料費や物流費などの上昇が、原価率の悪化を招くリスクが高まっている。
同社では、産地や商品規格の見直しにより原価低減に取り組むとともに、2021年9月にはクリエイト・レストランツグループ各社の食材購買を一元的にリードする企画会社CMDを合弁にて設立し、共同購買による最適化(単価低減)を進めている。


(4) キャッシュレス・省人化
また、クリエイト・レストランツ・ホールディングスのDX推進プロジェクト(ソフトバンク (TYO:9434)をパートナー)にも参画した。
顧客DB構築やセルフオーダー・セルフ会計導入、AI活用によるデータアナリティスク向上を推進することで、業務効率化や人材の最適配置(省人化)、顧客サービス向上などを実現し、コスト抑制と顧客満足(利便性向上)の両立を図っていく考えである。


2. 弊社の注目点
弊社でも、地方都市への進出は、成長余地として捉えるだけでなく、新たな変異株などの懸念があるなかで、リスク分散を図るうえでも、合理的な戦略であると見ている。
これまで実験的に運営してきた地方店舗(磯丸水産)も総じて堅調に推移しており、コロナ禍の収束とともに、いよいよ本格的な展開が開始されることになるだろう。
また、その際、直営店なのか、FCなのか、M&A(アライアンス構想)なのか、展開方式が気になるが、低投資で出店スピードが早いFC展開が現実的な選択肢となる可能性も十分に考えられる。
一方、「ネオ大衆酒場」については、まさに「磯丸水産」の収益モデルを環境変化に合わせてチューニングしたものと捉えることができるが、今後、「磯丸水産」とは違うどのような進化を遂げていくのか、新たな成長の軸となるのか、これからの動向を見守りたい。
さらに物価上昇への対応やDX推進については、クリエイト・レストランツ・ホールディング(グループ各社)との連携が大きなアドバンテージとなるだろう。
いずれもスケールメリットがポイントとなる分野であり、こういった動きのなかから業界の再編が進む可能性も高いと見ている。



■株主還元

2022年2月期は1株当たり10円の期末配当(復配)を決定。
2023年2月期は1株当たり20円の年間配当を予定している
同社は、コロナ禍に伴う業績悪化により2021年2月期の中間・期末配当を見送ったが、2022年2月期については、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことから、1株当たり10円の期末配当(復配)を決定した。
2023年2月期については、1株当たり10円増配の年間配当20円(中間10円、期末10円)を予定している。
また、株主優待制度についても、従来どおり実施する方針である。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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