日産の今期、営業利益予想1.1%増 原材料高圧迫を採算改善で補う

Reuters

発行済 2022年05月12日 17:13

更新済 2022年05月12日 18:45

[東京 12日 ロイター] - 日産自動車は12日、2023年3月期(今期)の連結営業利益が前期比1.1%増の2500億円になる見通しと発表した。原材料や物流費の高騰で利益を2570億円圧迫するが、積極的な新車投入や値引き販売の抑制による採算改善で補い、前期並みを見込む。

会社の営業利益予想は、アナリスト19人による事前の市場予想(IBESのコンセンサスによる予想)3184億円を下回っている。

売上高は同18.7%増の10兆円を予想する。前期に独ダイムラー株の売却益を計上した反動もあり、純利益は30.4%減の1500億円を見込む。

未定としていた前期の期末配当は1株5円とする。21年10月から22年3月にかけての自動車事業のフリーキャッシュフロー(純現金収支)が黒字化したことを踏まえ、2年ぶりに復配する。今期の配当予想は中間が未定で、期末は5円とし、年間では5円以上とした。

内田誠社長は会見で、前期は3年ぶりに最終黒字となり、構造改革が着実に進捗したとして手応えを示し、今期も業績改善に「自信がある」と強調。原材料高や半導体不足などが続いているが、値引きではなく、新車の価値が「受け入れられるように変わってきた」といい、「販売の質が向上した」と述べた。

今期の世界販売計画は400万台(前期は387万6000台)。このうち、北米は120万台(同118万3000台)、日本は51万台(同42万8000台)、欧州は32万台(34万台)、中国は138万台(138万1000台)。

ロシアやウクライナの販売台数は今期計画に織り込んでいない。ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化で部品在庫がなくなり、3月からロシア工場の操業を停止しており、現時点では稼働しない前提とした。