エルテス Research Memo(1):戦略的M&Aや資本業務提携等を通じ、成長加速に向けた変革と基盤構築に取り組む

Fisco

発行済 2022年06月08日 15:01

更新済 2022年06月08日 15:15

■要約

エルテス (TYO:3967)は、「次々と現れる新たなデジタルリスクに立ち向かい、デジタルリスクを解決すること」をミッションに掲げ、リスク検知に特化したビッグデータ解析技術を基に、企業を中心としたあらゆる組織が晒されるリスクを解決するためのソリューションを提供している。
創業来の主力である「ソーシャルリスクサービス」は、SNSやブログ、検索サイトなどWeb上の様々なメディアに起因するリスクに対するソリューションを提供するものである。
インターネットの普及やデジタルデバイスの進化により、利便性の向上と引き換えに様々なリスク(従業員による不適切投稿等に伴う風評被害やネット炎上等)が顕在化するなか、ソーシャルメディアの監視から緊急対応、その後の対応まで、顧客のリスクマネジメントをワンストップで支援する独自のポジショニングにより成長を実現してきた。
最近では、経済安全保障やコーポレート・ガバナンスへの意識の高まりなどを背景として、社内のログデータを対象として情報漏えいなどを検知する「内部脅威検知サービス」も順調に伸びている。


新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を契機とする新たな事業機会の出現やデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)化の動きが加速するなかで、主力の「デジタルリスク事業」に加え、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」を新たな事業セグメントとして立ち上げた。
今後は3つの事業による変革を進め、デジタル技術を軸とするユニークな事業基盤を確立していく方針である。
また、2023年2月期に入ってからは戦略的M&Aや資本業務提携を相次いで実現するなど、事業体制及び組織運営の刷新にも取り組んでおり、成長加速に向けた「変革と基盤構築」が本格的に動き出してきた。


1. 2022年2月期決算の概要
2022年2月期の連結業績は、売上高が前期比34.8%増の2,682百万円、営業利益が80百万円(前期は333百万円の損失)と大幅な増収増益(黒字転換)を実現した。
また、重視するEBITDAについても248百万円(前期比674百万円増、計画比108百万円増)と計画を上回る伸びを達成した。
売上高は、コロナ禍の影響により営業面でやや苦戦したものの、2020年12月に買収した(株)And Security(旧 (株)アサヒ安全業務社)の連結効果により「AIセキュリティ事業」が大きく伸長したことに加え、主力の「デジタルリスク事業」についても、「内部脅威検知サービス」が伸びてきたことにより増収を確保した。
一方、「DX推進事業」は自治体案件等の獲得遅れから減収となった。
損益面では、成長加速に向けた先行投資(人材採用やマーケティング投資、プロダクト開発等)を継続するも、増収による収益の押し上げや、「デジタルリスク事業」の収益性向上、間接コストの見直しなどにより増益となり、黒字転換を実現した。


2. 2023年2月期の業績予想
2023年2月期の連結業績について同社は、売上高を前期比49.1%増の4,000百万円、営業利益を同148.9%増の200百万円と大幅な増収及び営業増益を見込んでいる。
売上高は、需要が拡大してきた「内部脅威検知サービス」の販売強化や、期初からの相次ぐM&Aに伴う事業拡大及びシナジー創出が増収に寄与する想定である。
損益面では、サービス提供の内製化によるコスト圧縮効果、グループ横断での資産共有化などにより収益体質を強化し、高収益化を目指していく。


3. 成長戦略
2022年2月期より同社は、新たな中期経営計画「The Road To 2024」をスタートさせた。
コロナ禍をきっかけにDX化への動きが加速するなかで、新たな事業機会を取り込むために、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」を創設し、事業構造の変革を進めていくことが最大のテーマとなっている。
これまで主戦場としてきたSNS炎上対策というニッチな成長領域に加え、「デジタルガバメント関連」や「警備業界」など、成長率が高い領域、もしくは市場規模が大きい領域へ展開し、ユニークな事業基盤を構築する方向性である。
3年×3期による9年の中長期を視野に入れており、1期目の3年間は「変革と基盤構築」に取り組み、2期目以降での「加速度的な成長サイクルの実現」を目指している。
また、成長の先に健全なデジタル社会の実現を見据え、メタバース×スマートシティによる独自の「メタシティ構想(リアルとデジタルが融合した都市計画)」を推し進める考えだ。


■Key Points
・2022年2月期の業績は「内部脅威検知サービス」の伸びなどより増収増益(黒字転換)を実現
・相次ぐ戦略的M&Aや資本業務提携とともに、事業体制及び組織運営の刷新にも取り組む
・2023年2月期の業績は、M&Aによる事業拡大やシナジー創出に取り組むことで、大幅な増収及び営業増益を見込む
・中期経営計画では成長加速に向けて「変革と基盤構築」に取り組むとともに、独自の「メタシティ構想」を推し進める方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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