アジア投資 Research Memo(7):2022年3月期より新たな中期経営計画を推進(2)

Fisco

発行済 2022年06月15日 15:07

■日本アジア投資 (TYO:8518)の今後の方向性

(3) 行動計画と1年目の進捗状況

a) PE投資
PE投資のうち、フィナンシャル投資(戦略投資以外のPE投資)では、引き続き、既存の資産を流動化し、資産の入れ替えを完了させる一方、新たな投資方針に基づく3本のファンドを組成する計画である。
また、戦略投資では、既存の投資先を成長させ売却益を得るとともに、新規分野でのパートナー企業への戦略投資も行っていく。
2022年3月期は、(株)あおぞら銀行との合弁会社が1本の新規ファンドを組成したほか、戦略投資先のリニューアブル・ジャパンが2021年12月に上場を果たし、第1号IPO案件となった。


b) M&A仲介等
国内外のパートナーと連携し、FA業務(M&A仲介)のパイプラインを積み上げ、収益を拡大していく。
 2022年3月期は、日中クロスボーダー投資の専門家集団であるAIS CAPITAL(株)と業務提携を締結した。


c) プロジェクト投資
・ディストリビューションセンター(物流施設)
重点分野として投資残高を増やす計画である。
また、プロジェクトの初期段階に投資し、その後のミドルリスク・ミドルリターン志向のレイターステージの投資家を呼び込むことで、同社の採算性を向上させる戦略を描いている。
2022年3月期は、4件の新規案件に投資実行した一方、埼玉県越谷市のプロジェクト(KIC越谷ディストリビューションセンター)が竣工し売却に至った。


・ヘルスケア
高齢者向け施設への投資は、採算性や立地環境を中心に厳選された案件に投資を行っていく。
また、障がい者グループホームでは、銀行やリース会社とファンドを組成し、50棟の投資を実行する計画である。
2022年3月期は、高齢者向け施設(2件)の開発が順調に進み、そのうち1件の売却交渉に着手した。
また、障がい者グループホームでは、昭和リース等とのファンドを組成したほか、地域金融機関との連携等により8件の新規案件に融資実行した。


・再生可能エネルギー
ベトナムでの屋根置きソーラーのほか、国内のバイオガスプロジェクトへの投資を拡大する方針である。
国内のメガソーラープロジェクトは、順次売却して利益計上を図っていく。
2022年3月期は、2件のメガソーラープロジェクトを売却した。


・スマートアグリ(植物工場)
レタス工場は大手コンビニエンスストアを軸に販売先を開拓し、まずは4号工場まで事業規模を拡大する計画である。
2022年3月期は、需要拡大に対応するため、工場を増設し生産能力を拡大した。


・新規事業開発
既存投資テーマの周辺分野やコロナ禍に対応した事業テーマから、将来の収益の柱となる新規事業を開発していく。
2022年3月期は、ぴあグローバルエンタテインメント(株)との協業を開始した。


(4) 数値計画
FA業務や短期売却を前提としたプロジェクトへの投資を拡大することにより、PE投資に比べて比較的確実性の高いフィー収入やプロジェクトの収益を拡大し、持続可能な収益構造を目指す。
ただ、この計画期間中は、既存資産の流動化を完了させるため、PE投資の収益が中心となるが、最終年度の2024年3月期にはフィー収益(約2.5億円)とプロジェクトの収益(約9億円)で管理コストを賄い、変動の大きなPE投資の収益により超過利益(アップサイド)を目指すシナリオとなっており、営業総利益で22億円、最終利益で8.5億円を計画している。
2022年3月期は、前述のとおり、IPOした上場株式売却の期ずれにより、業績面では計画を大きく下回ったものの、2023年3月期は、期ずれ分の売却を含め、計画期間2年目の数値計画を達成する見込みである。


3. 弊社による注目点
弊社でも、VC業界を取り巻く環境変化への対応や課題解決に向けて新たな投資方針を打ち出し、資産の入れ替えを進めながら収益基盤の強化を図っていく同社の方向性には合理性があると評価している。
特に、物流施設や障がい者グループホームなど、新たな軸となり得るプロジェクト投資が立ち上がってきたことや、それに紐づく戦略投資の積み上げは、今後の収益拡大に向けた足掛かりとして注目すべきポイントと言える。
したがって、この3年間で、いかに本格的に軌道に乗せていくのかが重要なテーマとなろう。
これまでの資産の伸びや収益の下支えに貢献してきたメガソーラーに代わるプロジェクト投資資産の積み上げに注目したい。
また、世界的に注目されているSDGsへの取り組みを、パートナー企業や各金融機関等と連携を図りながら成功させ、同社成長に取り込んでいく戦略が大きなカギを握るものと捉えている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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