サクシード Research Memo(3):従来にないユニークな教育サービス・人材サービスを展開

Fisco

発行済 2022年06月16日 15:13

■事業概要

1. 事業内容
サクシード (TYO:9256)の事業は、個別指導教室事業と教育人材支援事業、福祉人材支援事業の3つで構成されている。
教育サービスとして個別指導教室「個別指導学院サクシード」と家庭教師の紹介事業「家庭教師のサクシード」を運営している。
個別指導教室は神奈川県内に教室を展開、家庭教師の紹介事業は対面式及びオンライン式の2タイプを展開している。
人材サービスでは、学校や自治体、塾など教育機関向け、保育園や介護施設など福祉業界向けに、人材紹介や人材派遣、受託事業を行っている。
事業全体の特長は、事業を教育分野と福祉分野という近隣の業界に絞り、職種に細分化した多数の自社求人サイトを通じて登録者(求職者)を募集、登録者や求人企業の様々なニーズに対しきめ細かく最適なマッチングが可能になっていることにある。
このため、登録者や求人企業の満足度は非常に高いと言われている。



高単価・ローコストの「個別指導学院サクシード」
2. 教育サービス:個別指導教室
個別指導教室事業では、「これからの社会で活躍する子どもたちのために」をモットーに、1人1人に合わせた学習指導を行う「個別指導学院サクシード」と学習塾付き学童クラブ「ペンタスキッズ」を展開している。
自社内の人材サービス事業で教育関連人材の募集を行っているため、低い募集コストで講師を集めることができる。


(1) 「個別指導学院サクシード」の運営
「個別指導学院サクシード」は、神奈川県内に24教室(2022年3月末)を展開する地域密着型個別指導教室で、小学校1年生から大学受験生までを対象に、学校の補習や受験対策、各種検定の対策など様々なニーズに応えた授業を提供している。
「すべての子どもたちに質の高い教育を」というポリシーのもと、価格を低く抑えるため講師1人に生徒3人という授業スタイルを採用している。
個別指導は、経済格差が教育格差になってはならないという起業当時の創業者の思いから、授業の質を落とさずなるべく授業料を低く抑えるためのシステムで、同社は個別指導の草分け的存在の1つと言うこともできる。
さらに、集団授業では手の届きにくい生徒1人ひとりの進路や学習状況に応じたカリキュラムを提供できるため、集団指導に比べて客単価が高くなるうえ、問題演習の間に他の生徒を見るなど効率も良くなっている。
このため現在、個別指導に鞍替えしたりコースを新設する集団指導の塾も多くなっているもようである。


ところで、単に個別指導にしたからといって、同社も生徒も簡単にメリットを享受できるわけではない。
実際に生徒の学力が伸びなければならず、そのためには優秀な講師が必要となり、これはどの学習塾も抱えている課題である。
しかし同社の場合、自社内の人材サービスで他社学習塾や私立学校、公立学校など自治体向けに講師や教員を紹介・派遣している。
このため、教育関連の登録者を幅広く確保しており、数多くの優秀な講師陣を「個別指導学院サクシード」で採用することができる。
また、全教室が同社直営のため、授業カリキュラムや講師のクオリティ・管理、教室運営などを均一化できるため、どの教室も生徒や保護者が満足するサービスレベルを維持することが可能となっている。
これにより生徒数、教室数、売上高それぞれの増加を図ることができている。
もちろん、人材サービス事業への有益なフィードバックも可能と思われる。


最近のトピックとしては、売上高がコロナ禍でも堅調に推移していることである。
オンラインによるリモート学習にいち早く手を打ったことが奏功したが、生徒の保護者がテレワークなどでオンラインに慣れていることもスムーズにシフトできた一因と思われる。
ただし、コロナ禍に対する保護者の懸念が落ち着いてくると、リアルの教室を早く開けてほしいというニーズが高まっており、この点は同社の個別指導への信頼感の証と言えよう。
出店に関しては、コロナ禍で一時的に抑制していたが、講師陣など競争力のある個別指導の仕組みを構築しているため、ドミナントエリアの神奈川でさえ出店余地が残っており、今後も「個別指導学院サクシード」の出店を拡大していくという戦略に変わりない。
出店はニュータウンなど生徒の人口が増加しているエリアを想定しており、ゆくゆくは全国展開も考えているようである。
当面は、千葉や埼玉などの首都圏に、神奈川同様のドミナントエリアを形成していく方針のようだ。
なお、「個別指導学院サクシード」は、40ブース以上(1教室当たり在籍生徒数100人~150人)を標準モデルとしており、客単価が年40万円とすれば家賃次第ではあるものの標準の半分程度の生徒数でペイするという高収益体質となっている。
また、出店当初からじわじわ生徒数が伸びる傾向があり、いったん黒字化すると競争力を背景に黒字を継続する傾向もある。


(2) 「ペンタスキッズ」
同社は「ペンタスキッズ」ブランドで、学童の機能に学習塾と習い事をパッケージしたハイブリッド型学童クラブのサービスも提供している。
子どもたちを預かるだけでなく学習塾と習い事の機能をプラスすることで、教育意識が高く、放課後の時間を有効に使いたい保護者のニーズを取り込んだ。
内容は、毎日の学習カリキュラムのほか、英会話、プログラミング、体操教室、思考・表現ワークショップなどが含まれ、これらをすべてワンストップで提供している。
また、学習塾部門が母体となって運営しているため、経験豊富な講師陣と個別指導教室で確立した指導ノウハウを提供することが可能で、他の学童クラブとの差別化につながっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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