IXナレッジ Research Memo(6):コンサルティング、システム開発、システム運用すべてが順調に成長

Fisco

発行済 2022年07月15日 15:06

■業績動向

1. 2022年3月期の業績概要
アイエックス・ナレッジ (TYO:9753)の2022年3月期の業績は、売上高が前期比7.2%増の18,541百万円、営業利益が同32.3%増の1,149百万円、経常利益が同33.6%増の1,233百万円、当期純利益が同34.6%増の848百万円となった。


売上高は順調な着地となった。
主力のシステム開発において、大手通信事業者向けシステム開発案件やシステム検証案件に加え、資産運用事業者向けシステム開発案件が拡大した。
コンサルティングでは、食品商社における案件が拡大した。
また、運用サービスにおいては、大手ベンダー経由の社会・公共サービス系システム運用案件や基盤・環境構築案件が拡大した。
なお、コロナ禍の影響によるプロジェクトの遅延や中止はほとんどなく、DX化の推進機運の高まりが追い風となった。


利益面では、各利益が前期比30%超の増益となった。
売上高の増加に加え、適正な原価管理による売上原価率の低減、働き方改革(リモートワークの推進による通勤費や出張費の削減)や社内デジタル化(新たに稼働した新基幹システムによる生産性向上)への継続的な取り組みにより、販管費を抑制できたことが寄与した。
このほか、近年戦略的に推進している技術者(クラウドやRPA等の専門領域の知識を有する人材)の育成が単価向上につながった。
これらの結果、売上原価率は前期比0.6ポイント改善し80.8%、販管費率は同0.6ポイント改善し13.0%となり、営業利益は過去最高水準となった。



安全性が高く堅実な財務体質。
ROE14.4%、ROA11.3%と経営効率も上昇

2. 財務状態と経営指標
2022年3月期末における総資産は前期末比560百万円増の11,209百万円となった。
このうち流動資産は同597百万円増加したが、これは現金及び預金が338百万円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が429百万円増加したことが主な要因である。
固定資産は同36百万円減少したが、無形固定資産が減少したことが主な要因である。


負債合計は前期末比150百万円減の4,943百万円となった。
このうち流動負債は同351百万円増加したが、これは買掛金が160百万円増加したことが主な要因である。
固定負債は同501百万円減少したが、これは退職給付引当金が625百万円減少したことが主な要因である。


純資産合計は前期末比710百万円増の6,266百万円となった。
これは、当期純利益の計上により利益剰余金が755百万円増加したことが主な要因である。


流動比率は277.2%と短期の安全性の目安となる200%を大きく上回る。
また、自己資本比率は55.9%であり、中長期の安全性も高い。
ROE(自己資本当期純利益率)で14.4%(前期比2.4ポイント上昇)、ROA(総資産経常利益率)で11.3%(同2.3ポイント上昇)と経営効率も高まっている。
これらの結果から、全体として健全な財務体質を維持していると言える。



2023年3月期も増収及び営業増益を見込む。
DX化の進展など受注環境が良好ななかで、安定成長を目指す

3. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の業績については、売上高で前期比5.7%増の19,593百万円、営業利益で同2.7%増の1,180百万円、経常利益で同1.0%減の1,220百万円、当期純利益で同1.7%減の834百万円を見込んでいる。


受注環境については、コロナ禍で加速したデジタル化による企業のビジネス変革の動きは今後も継続し、それを支えるIT投資は堅調に推移すると見込まれる。
一部で半導体不足や原材料高騰などサプライチェーンの混乱が発生しているものの、システムインテグレーション業界への影響は軽微である。
システム開発に関しては、既に受注している案件をこなしつつ、新規案件の獲得及び既存案件の拡大に力を入れる。
特に、既存事業では車載組込みシステム開発案件、第三者検証サービス案件、運用設計や基盤構築案件などの受注拡大を目指す。
新規ではクラウド化案件(オンプレミスからクラウドへの移行や統合など)の受注拡大を目指す。
人員の補強がカギとなるが、定期的な新卒採用(2022年4月に81名を新卒採用、2023年4月も前年並み予定)に加えて、中途採用及びパートナーとの連携も強化されており、機会を逃さない体制が整っている。


営業利益は前期比2.7%増、営業利益率6.0%(同0.2ポイント低下)、売上総利益は同8.8%増、売上総利益率19.8%(同0.6ポイント上昇)と堅調に推移する見込み。
一方、販管費は同11.7%増、販管費率13.8%(同0.8ポイント増)と、前期の反動もあり増加する予想だ。
コロナ禍で減少した通勤費・出張費・交際費などが増加することに加え、人材育成を計画的に進めていることによる。
経常利益及び当期純利益は微減となるが、前期の一過性の要因がなくなるためで、順調な予想に変わりはない。
弊社では、同社の顧客ポートフォリオは多様であり既存顧客からの安定的な受注が見込めること、コロナ禍を契機としてクラウド化のニーズが顕在化しDX化の動きが活発となっていること等から、業績予想は妥当性があると見ている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)


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