日経平均は反発、長期的にはロシアの侵攻や米中問題も警戒必要か

Fisco

発行済 2022年08月01日 12:14

 日経平均は反発。
131.63円高の27933.27円(出来高概算6億3690万株)で前場の取引を終えている。


 前週末7月29日の米株式市場のNYダウは315.50ドル高(+0.97%)と続伸。
前日引けに発表されたオンライン小売りのアマゾンや携帯端末アップルの好決算を受けてハイテクセクターが強く、相場全体を押し上げ終日堅調に推移した。
金利の低下も支援し、ナスダック総合指数も大幅続伸、主要株価指数がそろって上昇した米株市場を受けて、日経平均は前週末比12.18円高からスタート。
その後は、じりじりと上げ幅を拡げる展開となった。


 個別では、配当引き上げによる利回り妙味の一段の上昇評価が続く商船三井 (TYO:9104)
を筆頭に川崎汽船 (TYO:9107)や日本郵船 (TYO:9101)などの海運株が大幅高となっている。
ほか、キーエンス (TYO:6861)、OLC (TYO:4661)、デンソー (TYO:6902)、信越化 (TYO:4063)、メルカリ (TYO:4385)などが堅調、業績上方修正や自己株消却を発表したエンプラス (TYO:6961)がストップ高買い気配、第1四半期業績が市場想定を上振れて着地したZOZO (TYO:3092)なども大きく上昇した。
伯東 (TYO:7433)、日本化薬 (TYO:4272)、ミスミG (TYO:9962)が値上がり率上位に顔を出した。


 一方、レーザーテック (TYO:6920)、ソフトバンクG (TYO:9984)、任天堂 (TYO:7974)、日立 (TYO:6501)などが軟調。
ゲーム事業下振れによる通期営業益下方修正を嫌気されたソニーG (TYO:6758)や第1四半期が想定以上の低調スタートとなった富士通 (TYO:6702)などが大きく下落した。
ほか、コムチュア (TYO:3844)や、アルプスアルパイン (TYO:6770)、沖縄電力 (TYO:9511)、リオン (TYO:6823)、が値下がり率上位に顔を出した。


 セクターでは海運、輸送用機器、空運が上昇率上位となった一方、電気・ガス、金属製品、医薬品が下落率上位となった。
東証プライムの値上がり銘柄は全体の71%、対して値下がり銘柄は25%となっている。


 本日の日経平均株価は、小幅に上昇してスタートした後前週末終値付近でのもみ合い展開となった。
その後は、アジア市況が軟調な展開、米株先物は冴えない展開となったことを横目にじりじりと上げ幅を広げ、プラス圏での推移となった。
GAFAM決算を終えて米株高が継続していることは個人投資家心理にポジティブに働いている。
そのほか、国内でも決算発表が増加してきており、決算発表を終えた個別株物色が中心となっている。


 新興市場も本日は買い優勢の展開が続いている。
マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は、下落してスタートしたあと朝方にプラス圏に浮上、その後はじりじりと上げ幅を拡げた。
新興市場でもGAFAM決算を終えて米株高が継続、長期金利低下・グロース買いの流れが続いていることが個人投資家心理にポジティブに働いている。
ただ、グロース株優位の状況ではあるものの、新興市場でも既に決算を発表している銘柄など個別材料株中心の物色となっている。
前引け時点で東証グロース市場Core指数が0.67%高、東証マザーズ指数が0.63%高となった。


 さて、4-6月期国内総生産(GDP)が2四半期連続でマイナス成長となったが、FRBの大幅利上げを回避できるとの期待から米株式市場は上昇を継続している。
また、大型テック企業の決算では、アルファベットとマイクロソフトの決算が想定程に悪くなかったこと、アマゾンやアップルの決算で純利益が減少したものの売上高が増加したこと、などが好感されているようだ。
大型イベントを無難に通過したことで個人投資家心理がポジティブに傾いていることは明確となっている。


 ただ、株高が継続していくかは市場でも疑問視する声が多い。
ブラックロックでシステマチックマルチ戦略シニアポートフォリオマネジャーを務めるジェフリー・ローゼンバーグ氏はブルームバーグで、「市場は利上げペースの鈍化にすがっており、株価が上昇すればするほどその後の継続が難しくなると言うことをよく考えていない」と話している。
また、一部のFRBウオッチャーは、「パウエル議長の記者会見についての市場の解釈は狭過ぎる。
」とも発言。
フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の予測分布図では年内に3.4%前後、23年には3.8%ヘの利上げ見通しが示されており、利上げはまだ続きそうで過度な楽観論は危険としている。


 また、長期的にはロシアのウクライナ侵攻や米中問題も見逃してはならない。
ニューズウィークでは、将来のNATO加盟国への攻撃に備えて戦力と空中火力を温存している可能性があるというNATO国防大学の最新のリポートが発表されたと報じられている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は6月に「来年は、ウクライナだけでなく、他にも数カ国が攻撃されるかもしれない。
そしてそれはNATO加盟国かもしれない」と警告。
NATOのリポートはゼレンスキー氏の主張を反映し、ロシア軍のこれまでの弱さに騙されてはいけないと警告している。
ロシアがウクライナ以外のNATO加盟国へ攻撃を開始する可能性があることは頭の片隅に置いておきたい。


 米中問題に目を移すと、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は28日に電話会談を行い、台湾問題について長時間にわたり意見を交わしたという。
ただ、ペロシ米下院議長の台湾訪問の可能性が浮上したことで中国が警告を発する事態となっているようだ。
中国の国営通信によると、習氏はバイデン氏に「世論に反してはならない、火遊びをすればやけどをする。
米国側がこのことを明確に理解することを望む」と述べたという。
各国のインフレ及び金融政策の動向などに注目がいきがちだが、来年にかけてのロシアの侵攻や米中問題にもある程度のアンテナを張っておきたいところだ。


 さて、後場の日経平均は、アジア市況や時間外で米株先物の動きを横目にじりじりと上げ幅を拡げる展開が続くか。
前場に続いて個別材料株中心に物色が向かうか注目しておきたい。
テクニカル面では、終値で節目の28000円超えとなるか注目しておきたい。


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