ソフトバンクG、4─6月期3.16兆円の赤字 世界株安で投資損失拡大

Reuters

発行済 2022年08月08日 15:29

更新済 2022年08月08日 20:19

[東京 8日 ロイター] - ソフトバンクグループ(SBG)が8日発表した2023年3月期第1・四半期(4─6月期、国際会計基準)の最終損益は3兆1627億円の赤字となった。赤字は2四半期連続で、四半期の赤字額としては過去最大となった。世界的な金利上昇を受けた株安で、新興企業などに投資するビジョン・ファンド(SVF)の投資損失が2兆9191億円に膨らんだほか、円安で国内会社の米ドル建て純負債が増加し、為替差損8200億円を計上した。

前年同期の最終損益は7615億円の黒字だった。

財務状況の悪化を受け、同社はアリババ株式を活用した先渡売買契約により104.9億米ドル、米携帯電話サービス大手TモバイルUSの株式売却で24億米ドルを調達する。傘下の資産運用会社フォートレス・インベストメント・グループの売却先についても話し合いを始めていると明らかにした。

孫正義会長兼社長は、徳川家康が三方ケ原の戦いで敗れた姿とされる肖像画「徳川家康三方ケ原戦役画像(しかみ像)」を決算説明会の冒頭スライドで紹介、「しっかりと反省し戒めとして覚えておきたい」と述べ、ビジョン・ファンドへの新たな投資は抑えるなど、引き続き「守り」の徹底を実施していく考えを示した。

また、孫会長は「次に行うべき守りの部分はコスト削減」と述べ、人員削減を実施する考えを明らかにした。「創業以来最悪の赤字が続いている。聖域のない、あらゆるコストダウンを図らなければならない」とした。具体的な規模は明らかにしていないものの「大幅に、全社的に、全グループ的に」実施していく考えを示した。

ビジョン・ファンドの損失に関しては「(バリュエーションが)正当化されると思い込んでしまい、高い値札のものをたくさんそろえてしまった。今振り返ってみれば、バブル状態があったと反省している」と述べた。世界的な金利上昇局面を受け、投資環境の冬は今後も続くとの認識を示した。