Reuters
発行済 2022年08月18日 16:58
[東京 18日 ロイター] - アサヒグループホールディングスの勝木敦志社長兼CEO(最高経営責任者)は18日、ロイターとのインタビューで、北米市場への本格参入を検討していることを明らかにした。業績に関しては、原材料などのコスト高は予想されるものの、10月に行う商品の値上げ寄与や業務効率化を通して来期も増益を見込んでいると話した。
同社は「スーパードライ」に加え「ペローニ・ナストロアズーロ」、「コゼル」、「ピルスナーウルケル」、「グロールシュ」を5つのグローバルブランドと位置付けており、これらを拡大することが国際戦略の柱だとした。
勝木社長は「最高、最大の市場である北米。今のところなかなか機会が見い出せていないが、いろいろな参入形態があると思う。検討していきたい」と述べた。例えば、低アルコールや大人向けのプレミアムなノンアルコール飲料は「非常に可能性があると思っている」と指摘。スタートアップとの取り組みやブランド買収、技術を融合させて新たなものを出していくなど、様々な可能性があるとした。一方、クラフトビールの買収は「5つのブランドを載せるプラットフォームにはならない」と否定的なスタンスだ。
同社は2016―17年に欧州、20年に豪州で大型買収を実施。有利子負債の返済能力を示す純有利子負債に占めるEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)倍率を24年までに約3倍以下に減らすことを目指しており「大型の買収はその後になる」という。
現在、日本、欧州、オセアニア、東南アジアの4極体制で海外展開を進めており、21年は事業利益の64.5%を国際事業が占めた。
<ノンアルコール・低アルコールは世界の潮流>
同社は、豪州限定でアルコール度数3.5%の「スーパードライ」を発売した。日本でのアルコール度数は5%で「スーパードライ」の低アルコール商品は初めてとなる。
勝木社長は「豪州はアルコール度数3.5%のミッドストリングスがポピュラーであり、増えている。アルコール商品の中の3.5%の比率は3割を超えてきている」と背景を説明。他地域で展開する可能性については「具体的には決めていないが、状況を見て世界展開もあり得る」とした。
アサヒは2025年までに、アルコール度数3.5%以下とノンアルコール商品の販売容量構成比を日本では20%、世界では15%とする目標を掲げている。「Z世代や女性は、パーソナライゼーションがキーワード。いろいろ試して、自分に合ったものを選んでもらう。このカテゴリーは消費者にいろいろな商品を楽しんでもらいたい」とし、ノンアルコール・低アルコールの新商品を積極的に増やしていく方針だ。
「ペローニ・ナストロアズーロ 0.0%」は世界20カ国以上での展開を計画している。
<来期も増益達成へ>
国内ビール類の業務用については、コロナ禍から戻りつつあるものの、1―6月期でコロナ前の2019年上期比47%減の水準だ。勝木社長は、生産年齢人口の減少やコロナによる働き方の変化などから「ボリュームが19年と同水準に戻るのは難しい」とみている。プレミアム化や低アルコール、ノンアルコールで新たな需要の取り込みなど「価値の提案を実現していく」と話した。
原材料高に対応して、10月からビール類や缶チューハイなどを6―10%値上げする。缶ビールの値上げは08年3月以来14年7カ月ぶりとなる。これにより需要は5%程度減少すると試算している。
依然としてコスト高は続いているが「来年は値上げがフルで効く。コストの効率化も講じて、収益への影響を低減していく」とし「来年も増益を達成していきたいと思っている」と述べた。
2022年12月期の事業利益(国際会計基準)は前年比10.1%増の2400億円を計画している。
が書いた: Reuters
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