米国株式市場=続落、根強い米利上げ懸念で

Reuters

発行済 2022年08月30日 05:37

更新済 2022年08月30日 06:54

[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米国株式市場は続落して取引を終えた。経済が減速したとしてもインフレに対応するために積極的に利上げするという米連邦準備理事会(FRB)の方針に対する根強い懸念を受けた。

パウエルFRB議長は26日に経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)で行った講演で、成長鈍化などの「痛み」を伴ったとしてもインフレが抑制されるまで「当面」金融引き締めが必要という見解を示した。

これを受け、FRBがより控えめな利上げに軸足を移すのではないかという期待が打ち砕かれた。

S&P総合500種は一時、1%下げる場面もあり1カ月ぶりの安値を付けた。その後は下げ幅を縮小して引けた。ただ、過去2営業日の下落率は2カ月半ぶりの大きさとなった。

チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ担当副社長、ランディ・フレデリック氏は「先週金曜日の市場の急落は率直に言って行き過ぎだった。(パウエル議長は)インフレに断固として対処する姿勢を示したが、正直ここ数週間の発言と大差はない」と指摘。9月21日の利上げを通過するまで、市場ではボラティリティーの高い状況が続くと予想した。

米国債利回りが上昇する中、大型テクノロジー株などグロース(成長)銘柄が売られ、ナスダック総合を押し下げた。アップルは1.37%安、マイクロソフトは1.07%安。

投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は一時、27.67まで上昇。7週間ぶりの高水準となった。

短期金融市場は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)について、75ベーシスポイント(bp)利上げの確率を72.5%織り込んでいる。この幅での利上げが実施されれば3回連続となる。

S&P主要セクターでは、エネルギーが1.54%高と上げが目立った。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」による減産の可能性やリビアでの衝突を受け、原油価格が約4%上昇したことが背景。

製薬大手のブリストル・マイヤーズ・スクイブは6.24%下落。同社の虚血性脳卒中予防薬候補が臨床試験の中間段階で主要目標を達成できなかったことが嫌気された。

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米取引所の合算出来高は93億6000万株。直近20営業日の平均は105億9000万株だった。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を2.19対1の比率で上回った。ナスダックでも2.20対1で値下がり銘柄数が多かった。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 32098.99 -184.41 -0.57 32188.00 32325.16 31972.79

前営業日終値 32283.40

ナスダック総合 12017.67 -124.04 -1.02 12021.05 12124.87 11981.42

前営業日終値 12141.71

S&P総合500種 4030.61 -27.05 -0.67 4034.58 4062.99 4017.42

前営業日終値 4057.66

ダウ輸送株20種 14232.72 -147.51 -1.03

ダウ公共株15種 1031.30 +4.56 +0.44

フィラデルフィア半導体 2744.50 -53.94 -1.93

VIX指数 26.21 +0.65 +2.54

S&P一般消費財 1247.91 -6.80 -0.54

S&P素材 487.44 -3.37 -0.69

S&P工業 802.04 -3.54 -0.44

S&P主要消費財 771.04 -1.10 -0.14

S&P金融 555.03 -4.25 -0.76

S&P不動産 266.42 -2.34 -0.87

S&Pエネルギー 639.10 +9.72 +1.54

S&Pヘルスケア 1470.07 -10.44 -0.70

S&P通信サービス 185.90 -1.47 -0.78

S&P情報技術 2413.74 -31.21 -1.28

S&P公益事業 384.12 +0.94 +0.25